【ビタミンE、サブリだと「過剰」の恐れ 「食事で摂取」ならOK】

ビタミンEは食事などから取らなければならない必須の栄養素です。不足すれば不妊や肌荒れなどの原因になります。一方、過剰に取ると健康によくないという研究報告も近年見られます。

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昨年、米政府の諮問機関「米予防サービス評価部会」は、がんや心臓病の予防法として「ビタミンEを含むサプリメント」を「推奨しない」のDランクに指定した。複数の研究論文を総合的に分析し、がんや心臓病の予防に効果がなかったとしている。同部会がA(強く推奨)かB(推奨)とした予防法は健康保険での無償提供が義務づけられるなど米国の健康政策を左石する。

2013年、デンマークの研究者らが米医師会雑誌に発表した論文では、46の質の高い比較試験を分析した結果、ビタミンEのサプリメントを取ったグループの死亡率は取らなかったグループの1・03倍だったという。差はわずかだが統計的に意味のある差だった。

ビタミンEは水に溶けにくい脂溶性ビタミンの1種だ。体内の油や脂肪分が酸化するのを防ぐ抗酸化作用がある。細胞膜などの劣化を防ぎ、細胞を守っていると考えられている。

死亡率増加の原因は不明だ。国立がん研究センターの津金昌一郎・がん予防・検診研究センター長は「多くなりすぎると抗酸化物質ではなく、逆に酸化剤として働いてしまう可能性がある。また、本来体が持っている抗酸化の能力に影響を与えるのかもしれない」という。

ビタミンCなど水溶性ビタミンは尿からどんどん出ていき、体内の濃度は一定以上増えない。脂溶性ビタミンは排出されにくく毎日取っていると体内の濃度が上がりやすいのだ。

田島真・実践女子大学長(食品学)は「ビタミンEの豊富な食事から多く取るのはいいこと」という。

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どれぐらいの量がよくないか。厚生労働省の基準では成人で1日あたりビタミンEの主成分αトコフェロールで650〜900_グラムが上限だ。食事で超えるのは無理だが、サプリメントだと3、4錠で超えてしまうものもある。これは短期間で影響が出なかった量で、長期の影響は論文によって結論が違うので考慮していないという。

米内科学誌の05年の論文では19の比較試験を調べ、1日30_グラム(天然型のビタミンEで換算)付近では死亡率が2%減るが、267_グラム以上では死亡率が4%増えているとした。サプリメントだと2錠ほど で超える場合がある。論文にはビタミンの専門家からの反論もあり、結論は出ていない。津金さんは「日本人は欧米人に比べビタミンE(αトコフェロール)が多く含まれる食べ物からの低用量のサプリメントなら有効かもしれないが、高用量のものは勧められない」と忠告している。(鍛治信太郎)

[インフォメーション]

日本人の通常の食事を続けていれば、ビタミンEが欠芝することや過剰摂取の危険はまずない。各種の栄養素の目安量、上限量は厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html)で、食品での含有量は文部科学省の食品成分データベース(http://f00ddb.mext.go.jp/)でわかる。




(出典:朝日新聞、2015/04/04)

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