【「あいうべ体操」で口の筋肉強化、鼻呼吸に 唾液出し感染・口臭防ぐ】

普段何げなく口を開けていることはありませんか。人は鼻と口で呼吸できますが、口だけで呼吸をしていると、さまざまな病気になりやすいことが分かってきました。口呼吸を防ぐには意識付けが大切です。無理なく鼻呼吸ができるようになる運動が注目されています。

   □  □

口の中では、唾液が自然に分泌される。唾液には、口の中の細菌やウイルスなどが繁殖する のを防ぐ作用がある。唾液がたくさん出ていれば風邪やインフルエンザなどの感染症だけでなく、歯周病や虫歯、口臭などの予防効果が期待できるという。

口呼吸をすると、口の中が乾いて、唾液がなくなる「ドライマウス」になりやすくなる。海 外の疫学調査などをもとに推計すると、日本人の約800万人がドライマウスとみられるとい う。口呼吸を続けていると、慢性の扁桃炎や鼻炎のぼか、集中力の低下にもつながりやすいという。

口呼吸になるのは、口の周りや舌の筋力が足りないことが主な原因だ。口呼吸になりやすい かどうかは、口を閉じた状態の舌の位置で確認できる。舌が上あごにしっかりついているのが正常な位置。口は自然と閉じる。一方、舌が下がって前歯の裏にあるのは、口が開いて口呼吸になりやすい状態だという。

福岡市にある「みらいクリニック」の内科医、今井一彰院長は、口の周りの筋肉を鍛える顔 の体操「あいうべ体操」を約10年前に考案した。

   □  □

体操は簡単だ。大きく口を開いて、「あー」 「いー」 「うー」 「ベー」とはっきり声を出す。「ベー」では口から舌を思いきり出すのがポイント。この四つの動作(1セット)を約4秒間かけてゆっくりとする。

体操は、口の周囲の唾液腺から唾液が分泌されるのを促す効果がある。さらに口の周りや舌 の筋肉が鍛えられ、口呼吸から鼻呼吸に変わっていくという。体操は、トイレの中やお風呂などで実施して習慣化させるとよいという。今井さんは「箸の使い方を覚えさせるように、口を閉じさせるのも教育が必要です」と説明する。

福岡県春日市の須玖小学校では、2012年度から、全校児童に校内や家庭で実践してもらっている。インフルエンザが流行する冬の季節の欠席者が減る傾向があるという。

今は、花粉や黄砂が飛ぷ季節。これらによるアレルギー反応で鼻の通りが悪くなることも口呼吸の原因になる。アレルギー反応を抑える薬で鼻の通りをよくしたり、外出時にマスクを したりすることが対処法だ。

大阪大歯学部の阪井丘芳(おかよし)教授は「口が渇く原因を知ることが大切。アレルギー反応を抑える薬を飲んで口が渇くことがある」と話す。また、湿度が低くなると、ドライマウスになりやすいため、室内の湿度を40〜60%に保つよう心がけることも重要という。(今直也)

[インフォメーション]

「あいうべ体操」については、今井一彰さんの著書「免疫を高めて病気を治す口の体操『あいうべ』」(マキノ出版)が詳しい。日本口腔外科学会のウェブサイト(http://www.jsoms.or.jp/public/)では、口の乾燥に伴う病気の特徴やトラブルの対処法などが分かる。また、全国の専門医がいる医療機関を探すこともできる。




(出典:朝日新聞、2015/03/28)

戻る