【「食卓に暖色の彩り」で食欲アップ 「補色」の活用も効果的】

色に気を遣うことで、食欲が増進したり、減退したりすることが知られています。色彩と食 欲の関係を知っておくと、日常生活のなかで食材や食卓に配色の工夫ができそうです。

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元・香川県明善短大学長の川染節江さん(77)は1970年代、約10年間かけて1千人以上の女子大生を対象に、色見本を見せ、食べ物の色にどんな感情を持つか調べた。赤やオレンジ、黄緑などは好まれた一方、青や紫は嫌われる傾向だった。

色に対して持つ感情を尋ねたところ、赤やオレンジは「食欲をそそる」「暖かい」「さわや か」などの反応があり、青や紫は「食欲減退」「冷たい」「毒々しい」などの答えだった。

60年代に米国の色彩学者が発表した報告では、赤やオレンジが食欲を起こさせる色で、黄緑 や紫は食欲を減退させる色とされた。川染さんは日米を比較し、赤やオレンジが好まれる点 は共通しているものの、黄緑は日米で反対の結果となったことについて、「民族で少し違いがある」と指摘。食習慣や食文化によって色の好みが変わってくる可能性を挙げている。

これらの研究を踏まえ、一般的には赤やオレンジ、黄色などの暖色は食欲にプラスに作用し、青や緑などの寒色はマイナスに作用すると言われている。

日本カラーコーディネーター協会(J−color)の広報担当で認定講師の桑野恵美さん(48)は、「料理の盛りつけや食器、食卓の彩りで工夫ができます」と話す。例えば、食欲をそ そるには、暖色のテーブルクロスやランチョンマットを選ぶと効果的だという。

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赤いトマトや黄色のバナナなど、元々食べ物の色は暖色系が多い。食材の色をより引き立て るために、オレンジと青、赤と綾など互いに引き立て合う色の組み合わせ「補色」の関係を使うのも方法の一つだ。グリーンサラダにトマト、マグロの刺し身に青じそを盛りつけると、おいしそうに見える。盛りつける食器は、カラフルだと食材が見えづらくなるので、白色など穏やかな配色にする方が食材を引き立てやすいという。

照明の工夫もある。白熱灯などのオレンジ色の光はくつろぐ雰囲気となり、食卓に最適。最 近は光の色を変更することができるLED電球の照明もあるので、食事の時間はオレンジ色、本を読むときは白色の照明に変えることもできる。

色彩と食欲の関係は、食品メーカーの商品や飲食店の看板などでも意識されていると言われ ている。ビールやカップ麺の包装や、ファストフード店や牛井店のイメージカラーを見ると、暖色系が多い。

色彩を意識した食事の普及に取り組む川染さんは「認知症の方に、受け身ではなく能動的に 食べてもらえるよう、食欲がわく色を活用するなど、色の違いを認識し、日常生活に生かしてほレい」と話す。(合田禄)

[インフォメーション]

日本カラーコーディネーター協会の著書「色彩生活」(角州学芸出版)では、色の効果を使った食べ物や食卓の工夫を紹介している。農林水産省のホームページ「実践食育ナビ」では、栄養素の働きから肉や魚の「赤」、米やパンの「黄」、野菜や果物の「緑」の三つの食品グループに分けた「三色食品群」について解説している。




(出典:朝日新聞、2015/02/07)

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