【「今年こそ禁煙」補助薬で成功率アップ 多少の体重増は「許容」】
新年を機に、禁煙に取り組もうと考えている人はいませんか。長年の喫煙者にとって気になるのはやはり、禁煙が健康に効果があるのかどうか。「今さらやめても健康の改善には時間
がかかるのでは」という思いもあるでしょう。禁煙を成功させるコツを調べてみました。
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自己流より、専門医のいる禁煙外来に行くのが近道と思い、東京都中央区にある中央内科クリニックで話を聞いた。
村松弘康院長(呼吸器内科)によると、心臓・血管系のリスクはたばこをやめた日からすぐ
に下がり、2週間〜3カ月後には肺機能も3・0%回復するという。村松さんは「意志だけで成
功するのは良くて2割。補助薬を使うと、成功率は6〜7割程度まであがります」と話す。
公的な医療保険が使える補助薬は飲み薬と貼り薬の二つ。飲み薬はニコチンと結合する脳内
の受容体に働きかけ、吸いたい気持ちを抑える。初めの1週間は喫煙可能だが、満足感はあま
り得られなくなるという。「吸ってもおいしくないという経験は薬煙する上で大きい」と、村松さん。服用は3カ月。軽い吐き気を感じる人もいる。空腹時を避け、半分に割って飲むなどの工夫をすると良いそうだ。
貼り薬はニコチンを皮膚から破り込み、禁断症状を抑える。徐々に小さな貼り薬にしていく。こちらは開始後すぐの禁煙が必要。かぶれる人もいるので毎日、違う場所に貼ると良い。
電子たばこを試みる人もいるが「吸うという行為」の習慣が抜けず推奨できないという。
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禁煙太りを心配する人もいるようだ。
健康プログラムの開発などに取り組む「あだち健康行動学研究所」(福岡県太宰府市)の所
長、足達淑子医師は「個人差は大きいですが、体重が増えることが多いので、特に女性が禁煙しにくい理由の一つになっています」と話す。日本人では禁煙で平均2`程度太るというデータもあるという。
ニコチンは食欲と脂肪蓄積を抑える作用があるという。禁煙で味覚が改善する例も多く、食
ベる量が増えがち。足達さんによると、特に最初の半月は平均で1日200`〜300`カロリーの増加がみられるようだ。
休重増を避けるには、「食べたくなったら、できればウォーキングなどをするのが理想」と、足達さん。しつかりした運動でなくても、家事をするなど少しでも動く。食べたくなった
ら何をするか、前もって決めておくのも良い。ただ、本来の目的は禁煙。禁煙に集中すべき最初の2週間程度は2`増くらいに抑えることを目標にすれば、休も心も負担が少ないそうだ。
記者も20年来の喫煙者。禁煙は何度も失敗してきたが、最近少し息苦しさも感じる。今年こ
そ何とか達成したい。足達さんは「禁煙しようと患ったこと自体が進歩。何回でも挑戦を」と励ましてくれた。(小池竜太)
[インフォメーション]
飲み薬、貼り薬とも治療期間中にかかる費用は、公的な医療保険が使える場合、1日当たり220〜230円程度。一般的なたばこの半箱分といったところだ。禁煙治療に保険が使える医療機関は日本禁煙学会の一覧のページ(http://www.nosmoke55.jp/nicotine/clinic.html)から調べることができる。
(出典:朝日新聞、2015/01/24)
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