【「コグニサイズ」で認知機能向上  失敗も会話も楽しく】

「コグニサイズ」という言葉を聞いたことがありますか。認知を意味する英語の「コグニシ ョン」と運動の「エクササイズ」を合わせた造語。早足や足臍みなどの運動と、頭を使うゲ ームを組み合わせた認知機能の維持・向上プログラムです。地域で取り組んでいる神奈川県南足柄市の公民館を訪ねました。

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コグニサイズにはいくつかメニューがある。この日は床に置いたなわばしご状のマス目を使 った「コグニラダー」を体験した。準備運動や体調確認をした後、∵基本ステップを練習。一つのマス目に「右左、右左」の計4歩のステップを踏み、次のマス目に進む。

つぎはいよいよ応用編だ。例えば、2歩目と5歩目で届をマス目の外へ出す。外へ出す足を3歩目と8歩目にするなど、各自が自由に変えられる。ここに、「6歩目で手をたたく」「7歩目で魚か野菜の名前を言う」などの変化をつけていく。一つのことに集中し過ぎると、足を踏み間違える。

「失敗しても笑い飛ばし、会話を楽しみながら、体を動かすのが続けるコツ」。南足柄市の 参加者が教えてくれた。

このはかのメニューとしては、一つのマス目を使って前後左石のステップを踏む「コグニステップ」や、大股で少し早めに歩きながら、しりとりや計算をする「コグニウォーク」もあ る。踏み台を使い、人が昇るときにもう一人が降りるといった運動をリズミカルに繰り返す のもいいコグニサイズだ。

考案したのは国立長寿医療研究センター(愛知県)。島田裕之部長は、「参加者にあわせて 難易度の上げ下げができるのも大きな特徴。ちょっと難しいかな、というくらいがちょうど良い」と話す。夢中になりすぎて障害物にぶつかったり転んだりしないよう、安全な場所を選ぶのも大事だという。

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平均年齢75歳のもの忘れがある100人を、コグニサイズを半年間続けた人と、座学だけの人に分けて比較した調査によると、コグニサイズを続けた人のほうが認知機能の維持・向上の効果が高かった。健康なお年寄りでも、運動が認知機能を改善させる効果があるという報告は 国内外から出ている。

運動の強さの目安は脈だ。最大心拍数(207から年齢×0・7をひいた数)から安静時心拍数(10分間以上安静後の1分間の心拍数)を引き、運動強度50%なら0・5(60%なら0・6、70%なら0・7)をかけ、それに安静時心拍数を足したものが目標心拍数だ。

70歳の人で安静時の心拍数が1分間で60回程度の人が運動強度を60%にしようと思った場合、運動直後の心拍数が1分間にl19回程度なら適正な負荷だ。心拍数は、コグニサイズが一段落したところで15秒測って4倍するのがコツ。1分間ずっと測っていると、脈が落ち着いてしまう。(竹石涼子)

[インフォメーション]

コグニサイズについては、国立長寿医療研究センターのホームページに詳しい説明がある。様々なメニューや運動強度の早見表なども見ることができる(http://www.ncgg.go.jp/department/cre/download/koguni_aisyuu.pdf)。「4色あし ぶみラダー」 (小学館)にはコグニラダーの道具とともに、入門書も入っている。




(出典:朝日新聞、2015/01/10)

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