【足の静脈に「血栓」を作らないために 意識して運動・水分補給】

長く座った後立ち上がり、歩き始めると、息苦しさや胸の痛みに襲われる──。こんな症状 がでたら、「肺血栓塞栓(はいけっせんそくせん)症」かもしれません」。足の静脈などで できた血液の塊「血栓」が肺の血管に詰まる病気で、患者は年間1万人を超えると推計されて います。どうすれば予防できるでしょうか。

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肺血栓塞栓症は、飛行機の中などで長時間動かない時に起きることで知られ、「エコノミー クラス症候群」とも呼ばれる。実際は、飛行機よりも日常生活の中で起きることが多く、ときには死亡する人もいる。

順調に流れている血液は固まらないが、血管の中でよどみがあると血栓ができる。とくに血 栓ができやすいのが、ふくらはぎなどの足の静脈だ。

歩いたり運動したりして筋肉が収縮すると、足の静脈がポンプの役割を果たし、血液が心臓 ・肺に送り返される。しかし、筋肉が動かないと血液は足に滞りがちになる。

三重大学病院の山田典一循環器内科長は「ふくらはぎは第二の心臓とも言われます。長く座 っているなと思ったら、筋肉を動かして血液を循環させるよう心がけて」と話す。

予防には歩くことが一番だが、狭い場所などで自由に動けない場合は、その場でできる運動やマッサージが効果的だ。

ふくらはぎの筋肉を意識して、つま先をゆっくり下げて足の甲を伸ばす。次につま先を上げてふくらはぎを伸ばす。これで歩く動作と同じように筋肉を収縮させ、血液を押し出せる。 足首をゆっくり回す動作も、ふくらはぎの筋肉を刺激する。

ふくらはぎを手でマッサージするのも効果がある。血液を戻すように、足首からひざへ向け て手のひらかこぶしで、圧力をしっかり感じるぼど力を入れてやるのがコツだ。足を組んで下側のひざを上の足のふくらはぎに押し当てて、こすり下ろす方法もある。

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ぼかにも、血管が圧迫されたり、血液中の水分が少ない脱水状態になったりしても血液が固 まりやすくなる。凝固機能に異常のある人や妊娠・出産、手術後の人も注意が必要だ。

血栓で足の静脈が詰まると、足にむくみや痛みがでる。赤くなったり反対に青くなったりする。症状は多くは片足にでるが、このようなサインを見逃さずに診察を受けたほうがいい。

特に心配な場合は、締め付ける力が強い「弾性ストッキング」を履いて、血液がたまるのを防ぐ。医師からきちんと説明を受けて使うことが重要だ。手術の種類によっては、手術後に 足を機械でマッサージする血栓予防法も、勧められている。

東北福祉大学の鈴木玲子特任准教授は「高齢者は座ったまま何時闇も過ごしていたり、厚着 で気づかないうちに脱水になっていたりすることがある。意識して水分をとり体を動かして欲しい」と話す。(福宮智代)

 [インフォメーション]

NPO法人日本血栓症協会のホームページ(http://thrombosis.or.jp/)には、静脈血栓で起きる病気や治療について詳しい解説がある。

東北福祉大学のボランティア支援課(旧支援室)のホームページ(http://www.tfu.ac.jp/volunt/index.html)では、エコノミークラス症候群を予防する「さんあい体操」が紹介されている。




(出典:朝日新聞、2014/11/08)

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