【「酸素カプセル」、疲労回復など期待 「羊水の圧力」で安らぎも】

小学生の長男が入っている少年野球チームの選手が先日、足首をねんざし、「酸素カプセル」に1時間入ったら翌日にははれがいくぶん引いた、と聞きました。ビジネスマンにも注目されているという酸素カプセルを体験してみました。

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東京・渋谷の「Forest」(フォレスト)。ビルのワンフロアに13台のカプセルが並んでいた。約2bの円簡形のベッドの上部にガラス窓がついた構造だ。

服を着たまま入り、横たわる。ガラス窓が閉まると宇宙船の操縦席にいる気分だ。さっそく空気の加圧が始まり、デジタル気圧計の数字が「1・00」から「1・30」に。内部が1・3気圧になったことがわかる。

ふつう21%の酸素濃度を50%に上げるよう設定していた。そのせいか空気が濃く感じたが、力を抜いてじっとしてい各と、いつの聞にか眠ってしまった。

1時間後、スタッフに起こされ外に出ると、頭がすっきりして体が軽くなっていた。「1・3気圧」は、胎児が羊水の中にいるときの圧力に近い。このため、精神的に安らぐ効果があるのだという。

店長の山峨天栄(たかえ)勅さんは、「会社員の方はひと眠りという方が多いですね。携帯電話もパソコンも持ち込めますから。また、店には有名なスポーツ選手がよく来られます。あれ、あのひとが……とびっくりすることもしよつちゅうです」と話す。

一般に「酸素カプセル」と呼ばれている装置は、大きく分けて2種類。私が入ったのは、空気を加圧したうえ、酸素濃度を高める「高気圧酸素カプセル」だ。もう一つは、空気を加圧するだけの「健康気圧カプセル」で、ともに健康器具と位置づけられている。

注意が必要なのは、潜水病や高山病などの治療に使われる「医療用カプセル」とは全く違うこと。こちらの気圧は2〜3気圧と、かなり高い。

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  酸素カプセルを研究している京都大学大学院人間・環境学研究科の石原昭彦教授によると」気圧と酸素濃度が高くなると、血液中に溶け込んでいる酸素が増え、毛細血管を通じて体の細胞に行き渡る酸素の量が増加するとされる。その結果、新陳代謝が高まる。糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防や改善にも効果が期待できる。

石原教授は「私の実験では『1・25気圧、酸素濃度36%』が一番効果的だという結果が出ています。酸素カプセルに入ることにより、女性の不妊症に効果があることもわかっています」と話す。

では、気圧だけを高くするタイプの酸素カプセルに効果はあるのだろうか。早稲田大学スポーツ科学学術院の赤間雄教授(スポーツ医学)はこう話す。

「密閉した個室の静かな空間に横たわると、のんびりできる効果は確かにある。医療効果というより、リラックス効果ですね」(石川雅彦)

[インフォメーション]

「Forest」(http://www.sanso-forest.jp)の酸素カプセルは60分2500円。初回限定に限り60分1800円というコースもある。酸素カプセルは日本ハムの斎藤佑樹投手が2006年の高校3年生のときに連投による疲労回復のために使ったことなどから注目され、10年ごろからチェーン店ができるなど、全国的に広がった。




(出典:朝日新聞、2014/10/18)

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