【スパイスを活用して暑さを乗り切る 複数合わせ、食べやすく】

激辛料理やエスニック料理に欠かせないスパイス。その香りや辛みは、夏パテ予防や食欲増進に効果があると言われてい ます。上手に活用して暑さを乗り切る方法を専門家に聞いてみました。

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日本香辛料研究会によると、世界で栽培されているスパイスは700種以上。香りづけや臭 み消し、辛みづけなどに使われ、料理に独特の風味やアクセントを与えている。しかし効能は それだけではない。

「スパイスの辛みや香りには、発汗作用で体温を調節したり、胃液の分泌を促して食欲を 増進させたりする効果もあります」と、日本大生物資源科学部の関泰一郎教授は説明する。

トウガラシの、舌が焼けるようなヒリヒリする辛みの成分「カブサイシン」は、口や食道、胃腸の 感覚神経にも刺激を与える。この刺激は「熱さ」として脳の体温調節中枢に伝えられるため、大 量の汗が出る。辛いものを食べると体がぼかぽか熱くなるのはこの「産熱効果」が影響している。

ガーリックやショウガ、ワサビの成分、カレーに入れるクミンやターメリックなどの成分にも、体内にこもった熱を 発散させてくれる働きがある。さらに、胃の粘膜の血行をよくする働きがあるため、食べ物を消化する 力が上がる。これが食欲アップや夏パテ解消にもつながるという。

ただし、いくらパテ気味だからと言っても取り過ぎは禁物。関さんは「オーバースパイスは、胃や腸の粘膜を傷める原因 にもなる。胃腸の弱い人や胃腸に炎症のある人には逆効果です」と注意を促す。

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一方、「スパイスは辛すぎる」「臭いが嫌い」「使い方が分からない」などと苦手意識を持ち、敬遠する人もいる。

「スパイスコーディネーター協会」は、子どもから高齢者まですべての人が食べやすいスパイス料理のレシピを提案して いる。

夏のお勧めは「スパイスティー スカッシュ」。水にシナモンスティックとショウガを入れて煮出し、紅茶と炭酸飲料、砂糖を加えて冷やした飲物。 シナモンとショウガで体が温まり、爽やかな香りも楽しめる。

スパイスを3種類以上ブレンドすればそれぞれの香りや辛みが目立ちにくくなり、昧が深まる。「辛い」というイメージの カレーも、複数のスパイスを合わせることで、かなり食べやすくすることができるという。

          協会の武政三男(たけまさみつお)理事長は「好みに合ったものをブレンドし、『我が家のスパイス』として活用すれば、体にいいだけでなく、料理の風味と深みを増すこ とができます」と話す。

日本の家庭で使われるスパイスの消費量は、欧米の10分の1。「刺激や昧以外の効果もあ るので、もっと手軽に活用してほしい」と武政さん。(ライター・高山敦子)

[インフォメーション]

日本香辛料研究会編「スパイスなんでも小事典」(講談社)には、スパイスの働きや成分、活用法が 詳しく書かれており参考になる。

また、スパイスコーディネーター協会(http://www.spice-ca.org/index.html)が主催する通信教育や 講座でも、スパイスの特性や調理法などを学ぶことができる。




(出典:朝日新聞、2014/08/09)

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