【ぐっすり眠るコツ(3)】
眠れないとき、心の面で注意したいのが、うつ病だ。「うつ病の初期には、感情や意欲に関する訴えより、ぐっすり眠れない、熟睡感がないなどの訴えのほうが多い」と栗山室長。ちゃんと寝ているはずなのに疲れが取れない、食欲が出ない、気分が晴れない、仕事の効率が落ちたなどの症状がある場合は、うつかもしれない。無理をせず、専門家に相談しよう。
また、うつには季節性のものもある。冬になると朝起きるのがつらい、眠気が強い、無性に甘いものが食べたい、疲れやすいといった症状があるなら、「冬季うつ」の可能性がある。一番の原因は日が短くなること。春の訪れとともに次第に日が長くなっていくと体調が少しずつ上向きになり、睡眠の質もよくなる。「外に出て積極的に日光に当たることが大切」と内山教授は助言する。
あまり心配ごとを抱え込まず、屋外に出て活発に体を動かす−−。気持ちのいい眠りは、健康な日々の暮らしのなかにある。(日経ヘルス編集部)
熟睡を妨げる病気も
体の異常が原因で熟睡感が得られないこともあるので注意が必要だ。
いびきがひどく、睡眠中に何度も呼吸が止変る睡眠時無呼吸症候は、起床時に頭痛や疲労感も伴う。東京医科歯科大学歯学部付属病院快眠歯科の秀島雅之講師は「男性に多いが、女性も更年期以降に増えてくる」と指摘する。
鼻マスク(CPAP)で空気を気道に送り込む治療法が中心だが、軽症ならマウスピースも効果がある。「睡眠中に装着して下あごが少し前に出るようにすると、気道が広がって呼吸がしやすくなる」(秀島講師)
布団に入ると足がむずむずする「レストレスレッグス症候群」も睡眠を浅くする。鉄欠乏がその一因で、女性に多い傾向がある。「貯蔵鉄(フェリチン)が減っている場合は、鉄剤を服用することで症状が改善する」と内山教授。
足や手がぴくついて寝付けなくなるめは「周期性四肢運動障害」。寝る前にマッサージをしたり、カフェインやアルコールを控えたりすると症状緩和に役立つという。
前を見る(2)⇒【ぐっすり眠るコツ(2)】
(出典:日本経済新聞、2014/03/22)
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