【「コービング」でストレス軽減】

3年ほど前から「コービング」というストレス対処法を実践しています。経営者は日々、様々な問題解決を迫られます。そうした時に、以前は方位学の先生に相談役のような形で精神面のサ ポートをお願いしていました。その先生が他界されてから、自分で何か対処する手立てはないかと模索している時に出合ったのがコービングでした。

コービングとは、簡単に言うと、問題が起こった時に陥りやすい自身の思考の癖にとらわれず、その間題を事実として受け止めて対処していく方法です。プロのアスリートは、技術的な実力にはそれはど差はないはずです。では、どこで差がつくのかと考えると、ピンチに陥った時にも、本来の実力が発揮できるメンタリティーがあるかどうかではないかと思いました。そこで、元オリンピックメダリストの方が指導しているコービングの門を叩いてみたのです。

トレーニングは、インストラクターとの対話によって行われます。正直に言うと、初めはただ雑談をしているだけで、役に立つのかどうかも分かりませんでした。実際に、何度か受講すれば考え方が変わるといったものでもありません。ただ、続けているうちに、自分の考え方の癖に気づき、自分にとって好ましくないことが起こっても、以前ほどストレスを感じることなく対処できるようになってきました。

完璧主義思考が改善
例えば、私の場合は自分にも他人にも完璧を求めがちで、「こうあるべき」という思考のパターンに陥ってはストレスを感じていました。起業当時を振り返っても、とにかくがむしゃらで他人の意見には耳を貸さず、細かいことまで自分で指示を出していました。だからこそ短期間で株式上場を果たせたと思う一方で、社員の立場からすると、頭ごなしの指示で完壁な仕事を求められて、理不尽に思うこともあったでしょう。自分の“べき思考”に気づいてからは、それが少しずつ改善してきているように思います。

コービングの身体的なトレーニングとして、「ピラティス」にも通っています。ピラティスは体のコアな筋肉に働きかけて、緊張を緩めて整えるエクササイズです。これも思考のトレーニングと同様に、最初は効果が分からず、筋トレのような疲労感もないので物足りない気がしていました。それがやはり続けるうちに、凝り固まった体の力の抜き方が身についてきました。

楽しく健やかに働くための精神的なサポートになればという思いから、役員や社員にもコービングの研修を実施しています。それぞれが自ら問題解決に当たるようになれば、結果として、会社のパフォーマンスも上がる。長期的な成長を見据えた時には、自分自身も社員も、なるべくストレスを抱えることなく働くことが大切だと思っています。
(談話まとめ:田村 知子=フリーランスエディター)

(出典:日経ビジネス、2013/10/28号、杉本 隆洋=アズジェント社長]

[写真:山田 慎二」

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