【C型肝炎の新治療】

初めて肝炎ウイルスの検査を受けたKさん(51歳)。C型肝炎ウイルスヘの感染が判明した。今後どのように治療を進めていけばいいのだろうか。

肝炎は、肝臓に炎症が起きて細胞が破壊される病気だ。特に要注意なのはウイルス性肝炎で、C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎の患者・感染者は190万〜230万人と推定されている。徐々に肝臓の機能が失われ、肝硬変や肝ガンに至ることも多い。日本人の肝ガンの原因で最も多いのがC型肝炎だ。

C型肝炎ウイルスは血液で感染する。以前は輸血や血液製剤、注射器の使い回しなどでの感染が多かった。現在はこうした感染はほとんどないが、ひげそり、入れ墨・タトゥーやピアスの穴開けなどで器具を共用して感染するケースもあるし、感染経路は不明ながら、血液検査で判明することもある。

肝炎は自覚症状がないまま進行しているケースが少なくない。しかし、早期に発見し治療すれば、肝硬変や肝ガンに悪化するのを防ぐこともできる。

新薬でウイルスを排除
肝炎ウイルス検査で陽性の場合、専門医を受診し、確定すれば治療を開始する。治療の第1の目的は、ウイルスを駆除し肝硬変・肝ガンへの悪化を防ぐことだ。そのために現在用いられているのはインターフェロンである。インターフェロンは肝炎ウイルスの増殖を抑えるとともに免疫の働きを高めてウイルスを排除する作用があり、抗ウイルス薬のリバピリンとの併用療法が広く行われてきた。

しかし、インターフェロンは、発熱、白血球や血小板の減少、抑うつなどの強い副作用を伴うことが多い。ウイルスの型や量、年齢、体質などによって効きにくいこともある。これまではそうした場合、ほかの有力な治療手段がなく、肝細胞の壊れる速度を遅らせる肝庇護療法が数少ない選択肢だった。

だが、2011年にテラプレビルという新薬が開発された。これはウイルス直接阻害薬(DAA:Direct Acting Antivirals)で、ウイルスに直接作用し増殖を抑える薬だ。最近では、テラプ レビルとインターフェロン、リバピリンを用いた3剤併用療法が行われるようになっている。

さらに、テラプレビルより効果が優れ副作用が少ないシメプレビルというDAAが2013年中に認可される見通しだ。そのはか、現在多数のDAAが開発中である。副作用の少ないインターフェロン・ラムダも開発されている。近い将来、それらの新薬が使えるようになり、インターフェロンを使用せずに複数のDAAで治療することも可能になるだろう。また、インターフェロン・ラムダ+DAAという治療法で、副作用も少なく完治率も高くなる。

そうなれば、インターフェロンが効きにくい人や、強い副作用でインターフェロンを使いにくい人にも症状改善の道が見えてくるだろう。1〜2年の間あきらめずに現在の治療を続けながら新薬を待つ、という新たな選択肢が開けたことを覚えておいてはしい。
(談話まとめ:繋宮 聡=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2013/10/07号、藤岡 高弘=志木市立市民病院(埼玉県志木市)院長]

[イラスト:市原すぐる]

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