【部下を追い込む危ない上司】

大手IT汀(情報技術)系企業の社内相談室に勤めるカウンセラーのKさんから相談を受けた。3年前に成果主義を本格的に導入してから、因果ははっきりしていないが、苦手技術者を中心に病が増加しているそうだ。特定の管理職にまつわる問題も多く、他社の実態や改善策を知りたいという。

金融業界を舞台に人間模様を描いたドラマ「半沢直樹」が高視聴率で話題になった。このドラマには理不尽な上司が登場する。彼らのようなケースは稀だとしても、「部下をうつに追い込む上司」の典型はあるのだろうか。仲間のコーチやカウンセラーたちとともにリストアップしてみた。

身近にいたら要注意の上司たち
「話を聴かない上司」は、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」が成り立たない。部下の話を途中でさえぎり、叱ったり、指示を出したりする。自分の成功談や自慢話を引き合いに出すのもお決まりで、部下に向かうとやたらと攻撃的になる傾向がある。

「共感力がない上司」は、自分の価値観や準拠枠に合わないものは認めない。「今時の若いヤツは」「女性や契約社員には任せられない」「やっぱり系列会社(子会社)は甘い」などと言うの はこのタイプだ。

「相談しても一緒に困るだけの上司」は、部下に何か相談をされても、具体的な言動を示さない。無責任であり他人事なのだ。部下への物腰は柔らかいが、自己保身と事なかれ主義が働いている。

「酒を一緒に飲むだけの上司」は、アルコール好きの上司が陥りやすい。オフィスでは本吉で話せず、酒の力を借りて「俺も苦労してるんだ」などと自分のストレスや愚痴を部下に向ける。

「ナルシストの上司」は、自分に対する周囲からの評価には執着し関心が高いが、部下や同僚、取引先の立場や悩みには関心がなく、現場への対応が苦手。エリートと呼ばれる人も多く、学 歴や経歴、資格、職位偏重の家庭や職場で育ってきた傾向がある。

「ワークライフバランスに無頓着な上司」は、仕事や業績が最優先。自己流のガンバリズムにとらわれて、仕事の効率や休息、休暇などにも無頓着だ。

「完壁主義で細かすぎる上司」は、枝葉末節の問題や部下の欠点にばかり目が向く。このタイプの上司は周囲にストレスを与え、チームの生産性を阻害する因になる。

「ハラスメントに無自覚な上司」については、これまでにも取り上げたので割愛するが、最悪の上司と言える。

しかし、現代は上司にとっても大変なストレス時代であり、私も多くの上司側からの相談を受けている。疲弊している気の毒なケースも多い。理想の上司になろうと無理をせず、もっと自信を持ってもいいはずだと思う一方で、コミュニケーションの問題に関しては、管理職教育に戦略的に取り組む必然性があると思う。だが、管理職への教育や育成は不要との認識がある経営陣が多いのも問題だ。

[出典:日経ビジネス、2013/09/16号、渡部 卓=ライフバランスマネジメント研究所代表]

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