【毎朝の食事でメタボ予防】

太り気味で、仕事が忙しい時や前夜飲み過ぎた時は朝食を抜くAさん(38歳)。だが、朝食の取り方がメタボに関係するという新聞記事を読み、気になっている。

メタポリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は、内臓の回りに脂肪がたまる内臓脂肪型肥満に加え、高血糖、高血圧、脂質異常のうちの2つ以上を併せ持つ状態で、生活習慣病の代表だ。内臓脂肪が過剰にたまると動脈硬化が進行したり、糖尿病などほかの生活習慣病を併発しやすくなったりする。原因には、食事や運動などの生活習慣が関わっているが、私たちの研究では朝食の取り方が不規則だとメタポリックシンドロームになりやすいことが分かった。

2004〜09年に東京慈恵会医科大学の人間ドックを受診した中から、腹囲(へそ回り)・脂質・血圧・血糖値を調ベ、初診時はメタポリックシンドロームではなかった30〜59歳の男女6104人を抽出。生活習慣とメタポリックシンドローム発症との関連を検証した。なお、メタポリックシンドロームの本来の診断基準は、腹囲が男性85cm、女性90cmだが、今回の調査では女性では90cm以上が少ないため、国際糖尿病連合基準の80cmを基準とした。

1週間当たりの朝食摂取日数によって、6〜7日、3〜5日、2日、0〜1日の4群に分けて比較したところ、男性では3〜5日と2日のグループ、女性では2日のグループで統計的に有意にメタポリックシンドローム発症との関連性が認められた。中でも最もリスクが高かったのは男女とも週2日のグループで、毎日朝食を食べる人に比べて男性では約1.9倍、女性では約4.5倍もメタポリックシンドロームになりやすいという結果が明らかになった。朝食を食ベたり食べなかったりする人は、メタポリックシンドロームを発症する可能性が高かったのである。

毎日、軽めの朝食を
朝食の取り方がメタポリックシンドロームに関係するのはなぜなのか。朝食を食べたり食べなかったりすると、体は必要なエネルギーをいつ得られるか分からない。そこで、エネルギーが補給されなかった場合に備えて余分にエネルギーを蓄えておこうとする。そのため、体内に脂肪が蓄積されてしまうのではないかと考えられる。また、朝食に肉や卵などを食べている人は、シリアルなど軽食の人に比べて肥満度が大きいという米国の報告もあり、朝食の食べ過ぎにも要注意だ。

つまり、メタポリックシンドロームを予防するには、軽めの朝食を毎日取ることが望ましいということになる。朝食を取らなくても何ら支障がない人は無理に食べなくても構わないが、空腹感があるのに忙しいなどの理由で朝食を抜くのはいいことではない。

そのほか、メタポリックシンドロームの発症には、食事量の多さ、早食い、動物性脂肪の多い食事、外食での夕食が多いこと、過剰な飲酒や喫煙、運動不足なども関与している。こうした生活習慣の改善も大切だ。

(談話まとめ:繋宮 聡=医療ジャーナリスト)
[出典:日経ビジネス、2013/07/08号、和田 高士=東京慈恵会医科大学(東京都港区)総合健診・予防医学センター教授]

[イラスト:市原すぐる]

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