【「いいもの」を食べる】

私の父は42歳で、兄は49歳で亡くなっていますが、自分は生まれてこの方、病気一つしたことがありません。先日、アンチエイジング(抗老化療法)の専門医の検診を受けたところ、数百項目ある血液検査で、5点満点中4.6点という結果でした。平均が3.8点ということで、医師もとても驚いていましたね。

私はたばこもよく吸いますし、酒も毎日飲んでいます。人からすればむちやな生活をしているように見えるかもしれません。それでもこれだけ健康なのは、食べることを大切にしているからだと思っています。

酒を飲む時はあまり食べないという人がよくいますが、私は酒を飲む前には必ず食べます。食べなければ飲みませんし、食べない人にも飲ませません。自分だけが健康でいてもつまらないの で、周りの人間にも「飲むなら食べろ」といつも話しています。

昼食は若いスタッフと食べに出かけます。横浜の元町周辺には、観光客に知られざる名店がたくさんあるので、そうした店で、いいもの、うまいものを一緒に食べる。みんな食欲旺盛なので、見ている方も気持ちがよくなりますね。

店で食べたものは、さらに自分なりに工夫をして、自宅で作ってみることもします。間食用にオフィスに置いているせんべいも、自分で餅を天日干しにするところから作ったものです。

いいものを食べるというのは、値段が高いものという意味ではなく、自分にとっていいものを食べるということです。それには、脳が「おいしい」と感じるものを食べるのが一番いい。そうしていると、今日は「あれが食べたい」などと、自分の体が欲しているものが自然に分かってくるのです。

この脳の状態も、健康に大きく関わっていると思いますね。例えば、何となく疲れているなと脳が感じたら、無理をしないですぐ休む。そういうことも心がけています。

お仕着せの健康法は無意味
脳を鍛えるには脳のトレーニングが必要です。これもIQ(知能指数)を高めるということではなく、EQ(心の知能指数)を高めるということです。自分に制限を設けずに様々な経験を積み重ねること。周囲の人に気を配ること。そういうことが、EQを高めるうえでは大事だと思っています。

特に、周囲への気遣いができなくなると、自己中心的な言動が目立つようになり、ミスジャッジにつながります。そうなれば、会社のトップも、地域の世話役も務まらなくなるでしょう。

自分の脳がどう感じるか、どういう状態かを分かっておくことが、私の健康の秘訣です。たばこにしても酒にしても、私にとってはストレス解消に欠かせないもの。大切なのは、お仕着せの健康法ではなく、自分なりの軸を持つことだと思いますね。
(談話まとめ:田村 知子=フリーランスエディター)

[出典:日経ビジネス、2013/07/01号、北村 宏=キタムラ社長]

[写真:皆木 優子]

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