【市販薬では治らない爪水虫】

足に水虫があったものの、放っておいたKさん(39歳)。最近、爪が白く濁っていることに気づき、子供の足にも水虫があるのを見てさ受診を考えている。

白癬菌という生きた水虫菌が、爪の中で活発に繁殖している状態を「爪白癬」と言い、一般には「爪水虫」と呼ばれている。白癬菌とはいわゆる水虫の原因菌で、白癬菌が足の中にいれば足自癖(一般的に言う水虫)、爪の中にいれば爪白癬となり、すみつく場所で病名が変わる。爪水虫は、爪の中でもよく見られる病気で、現在、罹患者は1000万人と推測されている。

爪が白く濁る、通常1mmに満たない厚さが3〜5mmにまで増すといったことが代表的な症状で、放っておくと最後にはポロポロと欠けて崩壊する。

原因としては、水虫から感染して爪水虫になるケースが多い。水虫を持っている人の3分の1以上が爪水虫を合併しているとも言われている。ゴルフをする人に多く見られるのも特徴だ。スイングする瞬間など、足を踏ん張る時に爪が傷つきやすく、そこから白癬菌が侵入する。また、糖尿病の人は免疫力が低下しているため爪水虫になりやすく、患部に細菌が侵入して化膿し合併症を引き起こすこともあるので注意が必要だ。

爪水虫は季節に影響されることはなく、症状が沈静化することもない。市販の塗り薬で治そうとしても、爪は硬く、その奥に潜んでいる白癬菌まで薬が浸透しないので効果はない。爪が白く濁ったり、厚みを増したりしてきたら、水虫に詳しい皮膚科を受診してほしい。

診察で、爪の一部を爪切りなどで切り取って顕微鏡で観察すれば、すぐに診断がつく。爪水虫と分かれば、経口抗真菌薬を服用する。

               爪水虫と思っていたら、扁平苔癬(へんぺいたいせん)や掌蹠膿疱(しょうせきのうほう)症など、全く別の病気のことも多く、素人には判断できない。早期に適した治療をするためにも、受診して診断を受けることが大事だ。

家族に感染させない配慮を
爪水虫は、命にかかわる病気ではないため、受診して治そうと思う人は少ない。しかし、放っておいて爪が厚くなれば皮膚に食い込んで痛んだり、爪が崩壊すれば足にうまく力が入らず、歩きづらくなったりすることもある。

革靴をずっと履いている人は、親指が靴に当たって爪が傷つきやすい。靴を選ぶ時は足に負担がかからないような、フィットしたものを選びたい。オフィスにいる時は、サンダルに履き替えると予防になる。

最近では、子供の足や爪の水虫も増えており、その多くは両親から感染したものと思われる。自宅で爪水虫に感染した爪を切った時、床に飛んだ爪から家族に感染することもある。爪水虫の感染源である足の水虫にならないように、バスマットやスリッパなどを共有しないことも心がけよう。家族に感染させないことに気を配り、感染したらその人も受診して、水虫の連鎖を止める必要がある。
(談話まとめ:内藤 綾子=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、田沼 弘之、菊地 伊豆実=日本医科大学付属病院(東京都文京区)真菌外来担当]

[イラスト:市原すぐる]

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