【EDは積極的に外来受診を】

営業職のFさん(45歳)は、夫婦生活でうまく勃起できず」「繰り返すのでは」という不安からセックスレスに。デリケートな問題だけに、受診も躊躇してしまう。

ED(勃起障害)とは、性行為の最中に十分な勃起が得られないこと以外に、性行為中に勃起がうまく維持できないことを言う。「マスターベーションではできるが、パートナーとはできない」という人もEDだ。

日本のED患者数は、重症例と、時々できない中等例を合わせると、1000万人以上いると推計される。EDは大きく分けて、加齢や糖尿病など体質に問題のある場合と、ストレスや不安など心因性によるものがあり、30〜40代で多いのは心因性だ。

EDの原因で一番多いのは、失敗経験からくる自信喪失。飲酒していた時や、仕事で疲れがたまっている時など、うまく勃起しないで失敗することはよくあることだ。それを気にしすぎて、次回また失敗してしまう。うまくできない不安感によって大脳の興奮が遮断され、ペニスが萎えてしまい、ますます不安が募って萎えるといった悪循環に陥るのだ。

パートナーと円滑な夫婦生活を送りたい、子供が欲しいなどと思ったら、泌尿器科を積極的に受診してほしい。だが、実際に受診する人は、全体の患者数の1割に過ぎない。

診察では、具体的な症状や既往症、服薬歴などを聞き、問診だけで対応できると医師が判断すれば、特に性器を確認することもなく、適切な勃起治療薬が処方される。現在、ED治療に使用される薬はバイアグラ、レビトラ、シアリスの3種類。いずれも血管を拡張し、血流を増やす作用があり、大脳が興奮した際に、勃起を促し持続させるように働く。

インターネットの個人輸入代行でも勃起治療薬が取り扱われているが、不純物が混じっているなど、成分の異なる偽物がたくさんあるので注意したい。医師から処方された薬を正しく飲めば、心因性のEDの場合、7〜9割が改善される。薬が効かない時は、バキュームデバイス(陰圧式勃起補助具)や陰茎海綿体注射などの方法もある。

心因性を除くEDの場合、心筋梗塞になった人の多くが平均3年前にEDになっていたというデータがある。40〜50代に差しかかり、大きなストレスもないのにEDが始まったら、循環器の病気のサインかもしれないので、動脈硬化などの検査をお勧めする。

ED改善で仕事も積極的に
EDになると、勃起に自信がなく気持ちにも余裕がないため、男性は自分のやりやすい方法など自分勝手なセックスをしがちなので注意したい。女性には男性が失敗したら激しく怒らない配慮が欲しい。一方で、過剰な慰めも男性のプライドを傷つける。「また次ね」とサラッと流すのが無難な対応だ。

EDが改善すると、自信が取り戻せて生活にハリができ、仕事にも積極的になれたという人も多い。勃起に不安を覚えたら、まずは受診をお勧めする。
(談話まとめ:内藤 綾子=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2013/04/22号、永尾 光一=東邦大学医療センター大森病院(大田区)泌尿器科教授・リプロダクションセンター長]

[イラスト:市原すぐる]

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