【脚がむずむずして眠れない】

> 脚に虫が走るような感じがして、寝つきが悪くなったGさん(55歳)。精神的疲労のせいかもと主治医に相談したところ、レストレスレッグス症候群の可能性を指摘された。

レストレスレッグス症候群は、脚がむずむずするという特徴的な症状から、むずむず脚症候群とも称される。虫が這うような感覚、ピクピクする、痔い、ビリビリするなど、症状の表現に個人差はあるが、患者さんにとって一番つらいのは、症状が表れることで阻害される睡眠だと言えるだろう。

症状の多くは脚を動かすことで解消されるが、入眠時に症状が表れると、眠たくても眠れないという入眠障害が生じる。また、夜中に目が覚める、熟睡できないなどの訴えもある。

不眠を訴えて受診する患者さんの中には、むずむず脚症候群が不眠の原因であっても、脚の症状が医師に伝わらないため、正しく診断されないケースも少なくない。睡眠導入剤や精神安定剤、抗うつ剤などが処方されるが、根本的な治療がなされないので、睡眠障害は改善されない。それどころか、薬のせいで症状が悪化することもある。

睡眠不足になると、自律神経が乱れ、免疫力が低下し、健康な状態を保てなくなる。ビジネスパーソンであれば、仕事の能率が下がることも大きな問題となるだろう。症状は、夕方から夜間にかけて表れやすいが、日中でも乗り物に乗っている時や会議中など、じっとしている時に表れることもあり、脚以外に症状を感じる患者さんもいる。

早めの治療で症状が軽減
この病気の国内の患者数は、人口の2〜5%程度、200万人を超えると推定されている。40代から患者数が増え、女性は男性の1.5倍ほど発症率が高い。

病気の原因は、脳内の神経伝達物質であるドパミンの機能低下が深く関係していると言われている。また、ドパミンの分泌に必要な鉄分の欠乏も、症状を誘発すると考えられている。さらに、腎不全やうつ病などの特定の病気や、服用している薬によって2次的に発症することもある。

診断は、国際的な診断基準に従って、問診を行う。必要に応じて、血液検査や睡眠の質・量を調べる検査を行うこともある。治療には、行動療法と薬物治療があり、行動療法では、バランスの取れた食事、規則正しい生活、適度な運動を心がけ、温かい湯につかるなどストレスの軽減を図ることが必要となる。症状を悪化させやすい飲酒やコーヒー、喫煙は控えるのが望ましい。就寝前のマッサージで、症状が軽減することもある。

最近になり、この病気の治療薬が次々と適用認可を受け、症状の改善に大きな進歩が見られるようになった。これらの薬は中枢神経に働きかけ、ドパミンの機能を改善させる。鉄分の欠乏が分かれば、鉄剤を補給する。

むずむず脚症候群は、自然治癒することはなく、放置すると症状は悪化する。思い当たる節があれば、早めに神経内科や精神科、睡眠専門外来などを受診するのが望ましい。
(談話まとめ:仲尾 匡代=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2013/04/08号、野崎 稔=スイング・ビル野崎クリニック(東京都武蔵野市)院長]

[イラスト:市原すぐる]

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