【離島でバランスを取り戻す】

> 学生時代からどちらかと言うと文化系で、本格的な運動はしていませんでした。それが4年前のとある日に突然、「ちゃんと運動をしたら、自分が革命的に変わる」という直感がしたんです。 これは30代後半になって、「体を動かせ」という啓示だろうと思い、その瞬間に「週3日走ろう」と決めました。やってみると、不思議とどんどん走れるようになって、思考も整理されていき、気持ちも前向きになって、それまでとは違う自分に切り替わりました。

そんな頃に緑があって、東京・伊豆諸島の新島で、廃業した民宿をリノベーションして、「saro」というカフェと宿を運営することになりました。それから新島に適うようになり、翌年からは、毎年5月に開催されているトライアスロン大会にも出場しています。

トライアスロンは真剣に取り組んでいる人が多いですが、自分の場合は、島の人たちと親しくしたいという思いと、仲間も巻き込んで参加すれば宿に人を呼べるし、お祭り気分で楽しいだろうという理由で始めました。それでも、1年に1度の大会出場という目的があると、普段のトレーニングの励みになりますね。

新島には2カ月に1度のペースで行っています。宿でお客様を出迎えたり、草むしりをしたり、海沿いの道を走ったり、島のミュージシャンたちと酒を飲んで語り合ったり。そんなオフの時間を過ごして、帰ってくる。それは単にリラックスするということではなくて、日常の商業資本主義から切り離されたところで、心身のバランスを取り戻すということなんですね。そうすることが、自分のリズムになっています。

同じ東京でありながら、船で数時間渡った離島は、経済圏が別になっている印象があり、都会にいる時とは違った価値観になれる。本能的になれるんですね。自分にとっての離島は、都会の新しい公園のような位置づけで、都市で働く人にとっても、都会の厳しい生活から離れてバランスを取るために訪れるような場所になればいい。島の人たちと一緒に、そういう場所にしていくことも考えています。

自由でいるための努力
20代までは、資本主義の世界を学ぶためにビジネスの世界にいました。30歳近くになって、本来やりたかった建築・不動産のプロデューサーという分野にたどり着き、現在は不動産再生プロジェクトや新規事業のプロデュース、不動産セレクトショップサイト「東京R不動産」の運営、地域再生といった事業を手がけています。

自分のやりたい仕事ができるようになった今は、キャリアや収入よりも、自由やビジョンを優先しています。そのために、体をいいコンディションに保つための努力くらいは、ストイックにしようと思っているんですね。その両輪でやっていくことが、一番の健康の秘訣ではないでしょうか。
(談話まとめ:田村 知子=フリーランスエディター)

[出典:日経ビジネス、2013/04/01号、林 厚見=スピーク共同代表、東京R不動産ディレクター]

[写真 山田 慎二]

戻る