【自分の「不動の軸」を知る】

普段仕事をしていると、「今の会社は自分には合わないのでは?」「自分がやりたい仕事とは違うような気がする」といった思いを抱くことがあるかもしれない。今回は「キャリア」について考えてみよう。

キャリアとは一般に職歴や経歴を指す言葉だが、キャリアを扱う心理学の分野では、働くことにまつわる様々な選択、活動、成長、人との関わり、価値観などを含む生涯を通じての過程を指す。すなわち、自分のキャリアを考えることは、仕事のみならず、自分の人生そのものを考えるこ とに等しい。

自分と仕事の間に存在する価値や意味などから、将来を展望し構築していくことを「キャリア・デザイン」と言う。冒頭で述べたように、仕事で行き詰まりや悩みを感じた時に、「なぜ自分は 今、こう考えるのだろう」と立ち止まり、これまでの自分とありたい自分との脈絡を見つけ、キャリアをデザインしていこう。

その際にポイントになるのは、自分が職業生活を送っていくうえでの不動の軸になるものを知っておくことだ。

キャリア・アンカーは何か
「キャリア・アンカー」という言葉がある。これは、自分がキャリアを形成していくうえで譲ることのできない大切な価値観や欲求のこと。アンカーとは、船舶を海上にとどめておくために使用する錨のことであり、波風のようないかなる外部からの影響にも動じない重りと言えよう。

キャリア・アンカーは就職活動をする段階で形成していくのが理想的ではあるものの、現実的には社会人になって実際の仕事を経験してから徐々に分かってくることも多い。また、仕事において周囲から自分自身へ求められる職務や役割のことを「キャリア・サバイバル」と言い、キャリア・アンカーとしての「やりたいこと、ありたいこと」が、キャリア・サバイバルの「しなければならないこと」との狭間でぶつかり合う。

自分自身のキャリア、すなわち職業人生を振り返り、キャリア・アンカーやキャリア・サバイバルを知ることは、自律的にキャリアを形成し、そのための自発的な研貸を促進することにつながる。

時には上の表を参考に、自分のキャリアを見つめ直してみてはいかがだろうか。自分だけでキャリアについて考えるのは難しいと感じるならば、専門家に依頼してキャリア・カウンセリングを受けることも有効だろう。

[出典:日経ビジネス、2013/03/18号、吉村 靖司=神田東クリニック副院長]

「ココロの処方箋」は今回で終了いたします。

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