【心の生活習慣病を防ぐ】

定期健康診断の結果やその後の指導などで、「生活習慣を改善しましょう」「生活習慣病の予防を心がけましょう」と、毎年のように注意されている人も多いのではないだろうか。

生活習慣病とは、日頃の良くない生活習慣の積み重ねによって引き起こされる病気だ。現在では、日本人の成人の3分の2が、これによって亡くなると言われている。代表的なものには、糖尿病、脳卒中、心臓病、脂質異常症、高血圧、肥満が挙げられ、運動不足、不適切な食生活、ストレス、喫煙や飲酒などが、発症や悪化の要因となっている。

生活習慣は心の健康にも影響 これらはみな身体疾患であるが、心の健康の不調も、生活習慣の積み重ねが要因となって引き起こされることがある。

まず、大きく影響するのが、睡眠不足だ。長時間労働、勉強や自己研墳、インターネットやゲームへののめり込みなどにより、睡眠時間が少なくなる日が続くと、日常の心身の疲労が抜けづらくなる。その結果として、日中の眠気、集中力の低下、全身倦怠感、イライラ感などが起こってしまう。1日の平均睡眠時間が5時間を切ると、うつ状態になりやすいというデータもある。必要な睡眠時間には個人差があるものの、最低でも1日6時間は確保しておきたい。

平目はどうしても忙しいから、週末にまとめて寝る、という人も多いかもしれない。だが、週末に寝ている時間が長すぎると、気分転換をする時間や体を動かす運動量が不足し、これも心身の健康に悪影響を及ぼす。早めに帰宅する日や夜更かしをしない日をできるだけ増やして、日頃から睡眠不足になりにくい生活習慣をつけることが大切だ。

次に、アルコールの飲み過ぎも心の健康を阻害する。アルコールは少量であれば、心身のストレスを軽減し睡眠を誘いやすくする。しかし、飲み過ぎると、眠りが浅くなって睡眠不足を引き起こし、前述のような状態を導きやすくなる。また、うつ病を発症させたり悪化させたりする原因にもなる。飲まない休肝日を定める、1日の酒量を決める、アルコールを必要以上に家に置かない、ある時間を過ぎたら飲まないなど、自分なりの飲酒のルールを作って実践するといいだろう。

最後は、社会生活である。対人交流というものは何かとわずらわしいこともあるが、オフタイムには人との会話やスポーツなどで、他者との交流を図ってほしい。読書やインターネットなど1人でできる趣味も悪くはないが、他者と直接触れ合うことはほど良い刺激になり、心身を活性化させる。遠くの親戚より近くの他人と言うように、日頃の交友関係が、いざ自分が困った時のサポーターになってくれることもある。

心の病気も身体の病気と同様に、正しい生活習慣を身につけることで予防することば可能だ。

  [出典:日経ビジネス、2012/11/12号、吉村 靖司=神田東クリニック副院長)]

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