【今日より明日を良く生きる】

2002年にNPO法人(特定非営利活動法人)KOMPOSITIONを立ち上げ、東京の渋谷を拠点に、若いアーティストやアスリートのために活動の場や機会を提供するプロジェクトを実施してきました。2010年から古ままちづクリエイティブを設立し、千葉県松戸市のJR松戸駅にほど近い場所に事務所を構え、その半径500mのエリアでまちづくりの事業を行っています。

一般的なまちづくりでは、都会をモデルに、既存のまちを成長させていくことを考えます。そのためには、建蔽率や容積率を上げるといったハードの調整が中心になります。しかし、私たちが取り組むまちづくりでは、まちをソフト面でどう成長させていくかを考え、まちそのものを一からつくることを目指しています。いわば、“自治区”をつくるようなものですね。

そこで、1年目はまちづくりを行うエリアを「MADCity」と名づけ、クリエーティブな自治区をつくるという概念を固めました。2年目は古民家や改装可といった個性的な物件を扱う不動産業を始め、クリエーターなどを中心に移住をサポート。今年は、新旧の住民が一緒にまちをつくっていく「タウンシェア宣言」を掲げて活動中です。

思春期のアトピー発症が転機に
MADCityプロジェクトには、自分にとって良いまちをつくりたいという思いがあります。私にとっての良いまちとは、今日より明日が良くなっていくまちです。NPOでの活動も、起業 したのも、自分の夢を追い続けるため。そんな生き方をするようになったのは、中学時代にアトピー性皮膚炎を発症したことがきっかけでした。

思春期にアトピーの症状が出てしまうのは、男子でも嫌なものでした。自分でも不快ですし、他人にも見られたくない。本気で治そうと、入院治療もしました。アトピーの治療では、体内で不足している副腎皮質ホルモンをステロイド剤を塗ることで補い、皮膚の炎症を抑えていくのですが、その適量の見極めが難しい。そして、だんだんと薬漬けになっていくんですね。

そうした中で、アトピーとつき合っていくことを受け入れるには、時間がかかりました。発症する以前に戻りたいと思っても戻れない。親のせいだと思っても治らない。自分なりに苦しんだ末に、今日より明日を良くするように生きるしかないと思えたのです。

成人してもアトピーは残っていますが、薬とは緑が切れました。ストレスがなく、自分が納得のいく生き方ができていると、症状は出ず体調もいいようで、今は至って健康です。

私は、人も、人の集合体であるまちも、モチベーションが重要だと考えています。まちづくりの場に松戸を選んだのも、まちの人たちにモチベーションがあったから。全国の地方都市に独自に発展するまちが増えれば、地域も人も元気になっていくと思います。
(談話まとめ:田村 知子=フリーランスエディター)

[出典:日経ビジネス、2012/08/27号、寺井 元一=まちづりクリエイティブ社長・NPO法人KOMPOSIT10N代表理事]

[写真:皆木 優子]

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