【自分の加齢臭が気になる】

「加齢臭が強くなったんじやない?」と妻に指摘されたNさん(47歳)。清潔を心がけていただけにショックだ。職場でも「強く臭っているのでは」と、気になって仕方がない。

加齢臭とは、年齢を重ねれば男女間わず誰にでも発生する、中高年特有の体臭のことである。目立つ人と目立たない人がおり、その臭いは青臭いチーズやローソク、古本のようなカビっぼい臭いなど、人によって表現が様々だ。

人は40歳を過ぎた頃から、体内に活性酸素が増え始める。活性酸素が増えると、皮脂腺内の過酸化脂質が増える。これが、同じく加齢によって増えたパルミトオレイン酸という脂肪酸と結びつき、加齢臭の原因となるノネナールという物質を発生させる。

ワキガや口臭、足の臭いのように、体の局所から発せられる臭いとは違い、加齢臭は体全体から漂う。いくらシャワーを浴びても、皮脂腺内のノネナールは消えず、消臭効果を期待してデオドラント剤を使用すると、皮脂膜を作る常在菌を殺すこととなり、皮脂膜がなくなって乾燥した肌からは、かえって臭いが蒸発、拡散しやすくなる。

加齢臭を抑えるには、体ではなく衣類に消臭剤を使うのが効果的だ。加齢臭は酸性なので、アルカリ性の重曹水をスプレーするといいだろう。市販の衣類用消臭スプレーでも構わない。

食生活の改善で臭いが軽減
臭いの原因、ノネナールを減らすには、もととなる過酸化脂質とパルミトオレイン酸の発生を減らせばいい。

過酸化脂質を作り出す活性酸素は、ストレスを感じると増加するが、ストレスフリーの生活などままならない。そこで、活性酸素を減らす働きのあるビタミンCやビタミンEを含む果物・野菜を多く摂取し、活性酸素でダメージを受けた細胞を活性化させる「抗酸化物質」を多く取るのが望ましい。身近な食品では、緑茶のカテキン、ごまのセサミン、赤ワインのポリフェノール、大豆のイソフラボンなどが抗酸化物質となる。

パルミトオレイン酸を減らすには、バターなどの油脂類、肉類などの脂質摂取を控えることが重要だ。和食中心の食生活をしていれば、自然と脂質摂取を減らすことができる。運動不足で汗をかかないことも、加齢臭の発生を促す。ぬるい湯にじっくりつかる半身浴や、30分以上のウオーキングなど有酸素運動によって汗をかけば、皮脂腺内のノネナールが洗い流される。

肥満、高血圧、睡眠不足、喫煙などはノネナールの増加に直結するため、生活習慣病対策を心がければ、加齢臭予防にもなる。また、他人から見て不潔感が漂えば、そのイメージで加齢臭がより強く感じられてしまう場合もあるので、身だしなみにも気をつけたい。

70歳を超える頃になると皮脂の分泌が減り、加齢臭も収まってくる。加齢臭を気に病みストレスを感じるよりは、「加齢臭は働き盛りの証拠」とプラスに考えてもいいだろう。しかし、その対策は、健康的な生活を送ることにもなるので、ぜひ試してもらいたい。
(談話まとめ:仲尾 匡代=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2012/07/30号、五味 常明=五味列ニック(東京都新宿区)院長]

[イラスト:市原すぐる]

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