【明るく和やかに働く】

社会で活躍する女性を育てる──これが、創設して以来の品川女子学院の理念です。私自身も、家庭を持って仕事を続ける女性の1人でありたいと思つています。そのために、心も休も健 康で、明るく和やかに働くことを目標にしています。

本校では「28プロジェクト」を実施しています。これは、社会人としても、女性としても、28歳を1つの節目とし、その未来から逆算して人生設計を考えるというものです。そのために必要な情報や経験を提供する環境を整えています。女性には、子供を産み育てる可能性があり、その年齢には制限もあります。そうした女性特有のライフイベントを視野に入れた教育が必要だと思います。

例えば、私が今迎えている更年期にしても、言葉では知っていても、いつどんな症状が起こるのかは知らずにいました。動悸がするようになり、ハートセンターで診察を受けるなど最終的に婦人科で原因が分かるまでに、不安な時間を過ごしました。

女性の健康に関する正しい知識があれば、こうした時にも心構えができますし、検診による備えがあれば、乳ガンや子宮ガンといった病気の早期発見もできるかもしれません。そんな思いから、私自身の健康状態についても、朝礼などで生徒たちに話して、知識を共有するようにしています。

過酷なトライアスロンに挑戦
私は幼い頃から「栄養・休養・運動が大事」だと、母に厳しく言われてきました。母も3人の子供を育てながら働いていたので、仕事を続けるには健康が何より大切だということを、子供たちにも伝えたかったのだと思います。

ですが、私は校長に就任したばかりの頃、多忙とプレッシャーによるストレスから、難聴になってしまいました。その時、鍼灸の先生に「このまま頑張りすぎると、体が仕事をさせてくれなくなりますよ」と言われ、休むのも仕事のうちだと、痛感しました。

同時に、それまでの生活を振り返り、自分はスポーツをしている時に心身が健やかでいられることに気づきました。さらに自己分析をして、仲間がいて、高い目標を持てるものが向いていると考えました。そこで、チームに入つてトライアスロンを始めました。

トライアスロンはスイム(水泳)、バイク(自転車)、ラン(ランニング)の3種目を連続して行うハードな競技で、レース中には予期せぬ様々なアクシデントも起こります。それはより良いものを常に求め続ける私の仕事のスタイルに通じるところがあり、学校におけるリスク対応のシミュレーションにもなっています。いくつになっても健康でスポーツを楽しめるということを、生徒たちに示したいという思いもあり、将来的には、年代別の世界大会出場にもチャレンジしたいと思っています。
(談話まとめ:田村 知子=フリーランスエディター)

[出典:日経ビジネス、2012/05/28、漆 紫穂子=品川女子学院校長]

[写真:山田 慎二]

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