【「モナ・リザ」を鏡に】

いよいよ新年度を迎えた。就職、異動、新規事業などで、新たな環境に入った人も多いだろう。これまで身だしなみや振る舞いについてあまり気にしなかった人も、改めて意識してみるいい機会だ。

今回は、レオナルド・ダ・ヴインチの名画「モナ・リザ」を自身の鏡にして考えてみよう。今から500年以上前に描かれた「モナ・リザ」は、あまりにも有名な作品であるため、そのイメージを詳細に思い浮かべることができる人も少なくないだろう。その中でも、この絵画の特徴から、ポイントをいくつか挙げてみたい。

違った視点で絵画を見る
@微笑んでいる
 笑顔はビジネスでの振る舞いの基本である。軽く口角が上がっている「モナ・リザ」の表情は、大袈裟でなくそれでいて温かさがにじみ出る、まさに「微笑み」である。真剣な表情が必要な場面も必ずあるが、この微笑みをいつも忘れないようにしたい。

A装飾品がない
「モナ・リザ」の女性は、指輪やネックレスなどの装飾品を身に着けていない。何も高価なスーツや小物などでむやみに飾り立でることはない。素のままの自分を出せる装いが大切だ。

B眉毛がない
「モナ・リザ」には眉毛が見えないが、それでもなぜか変に見えることはない。人と多少違うところがあっても、必要以上に気にすることはない。むしろ、貴重な個性だと考えよう。

C斜に構えている
「モナ・リザ」は斜めに体を向けている。履歴書の写真のように、正面を向いてはいない。身だしなみをチェックする時、鏡で自分の正面だけを見てはいないだろうか。斜めからの姿も映して、背筋の伸び具合なども確認しよう。また、困難な課題には、正面突破ばかりでなく、斜めの方向から攻めてみるのもいいだろう。

Dどこから見ても視線が合う
「モナ・リザ」は上方、下方、左右のどこから見ても、視線が見る者を追ってくる。鏡だとすれば、それを見ている限りは、どこから見ても視線が合う。自分が自分を温かい視線で包むように見守っているかのように。周囲の人に対しても、同じように温かい気持ちを注いでほしい。

このように「モナ・リザ」は、絵画としての美しさや、謎の暗号ばかりではなく、新生活を迎えた社会人にもヒントを与えてくれる。ここに挙げた以外にも、メッセージを見つけられるかもしれない。一度じっくり、「モナ・リザ」をはじめとする芸術作品を鑑賞してみてほしい。眼福になるのはもちろん、自分のこれからの社会生活に生かせるものが見えてこないか目を凝らし、考えてみると面白いだろう。

[出典:日経ビジネス、2012/04/16号、吉村 靖司=神田東クリニック副院長]

[写真:The Bridgeman Art Library/アフロ]

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