【ヨガで演奏後の痛み改善】

2011年は来日20周年でしたが、2012年はデビュー10周年の節目の年です。二胡は日本で言えば三味線のような中国の伝統楽器ですが、その歴史にとらわれず、クラシックやジャズ、ポップスなど、様々なジャンルやスタイルの音楽に挑戦しています。

スタンディング奏法もその1つです。二胡は通常、いすに座り左の大腿部に置いて演奏しますが、私はロックバンドを結成した際に、立ったまま演奏するようになりました。自由に動けることで、全身で音楽を奏でられるようになり、表現の幅が広がりました。

立奏では腰にべルトをして、左側に二胡を固定するためのホルダーを取りつけます。この時、左の骨盤を上げる とさらに安定し、姿勢も美しくなるのですが、年を重ねるとステージで演奏した翌日に、痛みが出るようになりました。整体へ行くと、骨盤の歪みを指摘され、重心を傾ける立奏が原因ではないかと言われました。

そんな時、レコーディングでご一緒したアコーディオン奏者の方が、体のバランスを整えるヨガを教えてくださ いました。そのヨガをした翌日は痛みが出ず、休もとても楽でした。以来、演奏の後だけでなく、起床時や入浴後、就寝前など、生活の流れの中に取り入れて無理なく継続しています。

集中力を高める呼吸法
ヨガをする時には、体の中心を意識して、深い呼吸を感じるよう心がけます。私はこのヨガに通じる呼吸法を、 演奏の前に実行しています。まず、息を深く吸ってから、5秒ほど止めます。その後、深く吐き出します。これを何度か繰り返すと、それまでの精神状態をリセットできて、脳が活性化するように感じられます。

私はこの呼吸法で、本番前の出来事をすべて忘れるよう切り替えています。それによって、ステージでは日常の続きではない、映画のストーリーのような最高の音楽を奏でられる気がするのです。ビジネスパーソンの方なら、大事なプレゼンテーションの前などにぜひ試してみてください。

2010年には上海万博、2011年には杭州世界レジャー博覧会で演奏しました。中国では文化大革命以降、伝統楽器の二胡を習う社会人は非常に少なくなりました。一方、私が日本で主宰している「心弦二胡教室」には、老若男 女の生徒さんが通っています。杭州ではその有志と共演したのですが、二胡を新しいスタイルで楽しむ私たちの姿を見て、中国の人たちが刺激を受け二胡を習いたいという声が多く聞かれたのをとてもうれしく思いました。

生まれは上海ですが、20年暮らす日本もまた、私の故郷となりました。デビュー10周年の今年はできる限り全国 に足を運ぼうと、春からツアーを予定しています。一つひとつのステージで感謝を込めて、元気と勇気につながる感動を届けたいと思っています。
(談話まとめ:田村 知子=フリーランスエディター)

(出典:日経ビジネス、2012/01/09号、巫謝慧=二胡奏者]

[写真:的野 弘路]

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