【夜間頻尿、受診の目安は?】

Kさん(48歳)は1年ほど前から、夜中に尿意を催して1〜2回目が覚めるようになった。2回起きた翌朝は、さすがに寝覚めが悪く、因っている。

頻尿とは、様々な原因で排尿回数が増えた状態を言う。尿に関する研究者の国際団体、国際禁制学会では、夜間排尿のために1回以上起きなければならないという訴えを夜間頻尿と定義している。しかし、1回なら通常、睡眠不足などのQOL(生活の質)の低下は少ない。QOL低下が顕著に見られるのは、2回以上の夜間頻尿だ。

本来排尿の量や回数を増やす原因としては、多量の水分摂取、飲酒、カフェイン摂取がある。これらの要因を除外しても夜間2回以上トイレに起きる場合、病気についても考慮する必要がある。頻尿が夜間だけか日中も見られるのか、夜間の尿量が増えているのか、などで診断が違ってくるが、夜間頻尿を疑うのは次のような疾患だ。

1つは泌尿器科系の病気である。過活動勝胱、膀胱炎、尿道炎、膀胱ガン、前立腺炎、膀胱及び尿管結石、膀胱結核、前立腺肥大症や前立腺ガンなどだ。

2つ目に、尿の濃縮力障害を来す腎臓の疾患、循環器系の疾患が原因の場合もある。いわゆる腎不全、糖尿病、高血圧、さらには尿崩症などの内分泌の異常でも頻尿を伴う。

そのほか、睡眠障害でも夜間頻尿になる。不眠症やうつ病などで精神的な不安や緊張がある場合である。さらに、睡眠中に呼吸が止まるSAS(睡眠時無呼吸症候群)、睡眠中に主に脚の筋肉に瞬間的な痙撃が起きて眠りが中断される周期性四肢運動障害(睡眠時ミオクローヌス症候群)、脚を中心にむずむずした不快感が生じて眠れないむずむず脚症候群などがあると、熟睡できずトイレに行きたくなってしまう。

2回以上起きるなら受診を
夜間にトイレで起きても1回のみで、その後ぐっすり眠れて不快感がなければ、気にしなくていい。だが、一晩にトイレで2回以上起きる、たとえ1回であってもトイレの後に眠れない、排尿痛・残尿感・尿線が細い、特に飲酒後に症状が強いという場合は、泌尿器科を受診してほしい。

泌尿器科では、まず生活習慣や食生活、現在治療中の疾患、排尿状態について問診し、尿検査で血尿や尿路の感染の有無を調べる。尿路の異常や腫瘍が疑われる場合は、尿細胞診、超音波検査を追加。さらにそれらの結果を検討したうえで、必要であれば、内視鏡や生検といった検査を行うことになる。最近は50代でも前立腺肥大症や、前立腺ガンが増えている。夜間頻尿を軽く見るのは禁物だ。

なお、前立腺ガンの早期発見にはPSA検査が有用だ。米国で最近、PSA検査の有用性を疑問視する見解も出ているが、そもそも日本ではPSA検査の認知度・実施率がいまだに低い。少量の血液で検査が可能であり、50歳を過ぎれば一度は受けたい検査だ。夜間頻尿が気になる人だけでなく、そうでない人も、一度は検診を受けてほしい。
(談話まとめ:繁宮 聡=医療ジャーナリスト)

(出典:日経ビジネス、2011/11/28号、西松 寛明=東京大学大学院医学系研究科(東京都文京区)泌尿器外科学講師]

[イラスト:市原すぐる]

戻る