【「アサーション」を身につけよう】

あなたは同僚と昼食のため、定食屋に足を運んだ。店内はかなり混んでいて、注文したものの、なかなか料理が出てこない。昼休憩の後は重要な会議があるため、あまりゆっくりしていられない。ようやく運ばれてくると、注文した品と違っていた。あなたはその時、店員に対してどのような反応をするだろうか。

 @「頼んだものと違うじゃないか!すぐ作り直せ!」と怒鳴り、謝らせる。
 A「違うけど、時間もないし仕方がない」とそのまま我慢して食べる。
 B店員をこっそり呼んで、「これは私が頼んだものと違うようだ。作り直し てもらえる?今度から気をつけて」と知らせる。

自己表現を見直してみる
厚生労働省が5年ごとに行っている「労働者健康状況調査」によれば、労働者が職場で最も多く感じているストレス要因は人間関係である。一口に人間関係と言ってもその内容は様々だろうが、コミュニケーションの問題も大きいだろう。

「言いたいことを上手に伝えられない」「周りの人が自分から距離を置いているように感じる」といった悩みを抱いている人はいないだろうか。冒頭で挙げた例は、そうしたコミュニケーションの問題からくる人間関係のストレス解決のヒントの1つになると思う。

 @のようなアグレッシブ(攻撃的)な自己表現だと、自分自身は思ったこと を主張してその場は満足かもしれないが、後味が悪くなったり、他者から距離を置かれたりすることになるかもしれない。
 Aのようなノンアサーティブ(非主張的)な表現ではその場はうまく収まるかもしれないが、不満や怒りをため込みやすくなる。
 Bはアサーティブな表現であり、相手や周囲の人を大事にしつつ、自分の主張をしっかりと伝えることができている。このような理想的な自己表現を「アサーション」と言う。

アサーションは他者との信頼関係が生まれやすく、たとえ意見が違っても感情的な言い争いになることなく建設的に話し合いができる。これにより、人間関係のストレスを感じにくくなる。

アグレッシブな表現をする人は「自分の思う通りに物事を進めるべき」「言わないと負かされてしまう」などという考え方が、またノンアサーティブな表現をする人は「自分が我慢していればいい」「言ったら嫌がられるかもしれない」などという考え方が潜在していると思われる。このような自分の考え方のクセに気づき、上手にアサーションができるようになってほしい。

[出典:日経ビジネス、2011/08/29号、吉村 靖司=神田東クリニック副院長]

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