【生きるように働く】

「東京仕事百貨」という求人サイトを運営しています。一般の求人広告は、職種や給与といった条件の提示にとどまることが多いもの。東京仕事百貨では、条件だけに終止せず、どんな仕事ができるのか、その仕事を通じてどんな生き方ができそうかといった情報までを、丹念に取材して伝えています。

取材や打ち合わせには、自転車で出かけることが多いですね。東京都心での移動なら、車や電車よりも時間が早くて確実です。神奈川県の鎌倉市や千葉県の松戸市あたりでも自転車で行きますし、都内目黒区の自宅から港区のオフィスへも自転車で通っています。

朝は特に満員電車に揺られるよりも、風を切って走る自転車の方が気持ちよく、清々しい気分になれますね。早朝5時頃までに目覚めた時は、ジョギングをすることもあります。夜はほとんど毎晩、お酒を飲んでいるので、自転車に乗ったり、ジョギングをしたりすることで、健康を維持できているのかもしれません(笑)。ただ、毎晩飲むのは、お酒が目的というわけではなく、人と会って話す場を共有することが好きだから。それが何よりの元気の秘訣です。
「仮面」はかぶらない
東京仕事百貨でも、これまでに200以上の職場を訪ねました。例えば、鹿児島県の奄美大島と屋久島の間にあるトカラ列島で、コンビニエンスストアもない、人口180人程度の離島に移り住んでの地域おこしの求人について取材をしたこともあります。こうした仕事は、条件だけで見ると厳しいものかもしれませんが、志のある人にとっては、やりがいを持って働ける意義ある仕事だと思います。そんな様々な仕事や働き方に接し、夢や志を持つ人と話すことはとても楽しく、本を読むよりも多くのことが学べます。

はつらつとしている皆さんに共通しているのは、「生きるように働いている」ということ。仕事が生活の一部になっているんですね。これは文脈を間違えると、ワーカーホリックと紙一重だと思われがちです。しかし、そうした人は、自分がどうしたいかという思いを軸に仕事に向き合っているので、おのずと生き生きとしています。そのスタンスが、心身の状態にもいい影響を与えるのではないでしょうか。

仕事に費やす時間は、人生の中でも大きな部分を占めています。その時間を、息を押し殺すようにして働いていては、苦しくなってしまうはずです。ただ、今は、氾濫する情報に追われて、「仮面」をかぶっている人が多いと感じることがあります。自分の価値観ではなく、社会や誰かの価値観に委ねている方が、楽に生きられることもありますから。自分が今、以前に増して若返ったように元気に働けているのは、仮面をかぶらずに生きている人と会い、自身も生きるように働くことができているからだと思います。
(談話まとめ:田村 知子=フリーランスエディター)

[出典:日経ビジネス、2011/06/13号、中村 健太=シゴトヒト社長]
[写真:皆木 優子]

戻る