【ピロリ菌の除菌】

Fさん(47裁)は胃痛に悩まされ、胃潰瘍や胃ガンの原因と注目されるピロリ菌のことを知りたいと思っている。どんな菌で、どうすれば取り除けるのだろうか。

ピロリ菌(へリコバクター・ピロリ菌)は、らせん状をしていて、感染すると胃の中にすみつく細菌だ。胃潰瘍・十二指腸潰瘍など消化性潰瘍の主要な原因と考えられている。

従来、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因は、ストレス、アルコール、胃酸過多、塩分の過剰摂取などとされてきた。しかし近年、胃潰瘍の患者の約7割、十二指腸潰瘍の約9割以上にピロリ菌がいることが明らかになっている。胃ガンについても、ピロリ菌陰性より陽性の場合にできやすいことが分かってきた。慢性胃炎や胃潰瘍から、粘膜の萎縮や腸上皮化生(胃粘膜が腸粘膜と似た状態に変化すること)を招き胃ガンへ進む。一方、炎症がはっ、きりしない中に胃ガンができるケースもあり、ピロリ菌が胃ガンを起こすメカニズムの解明は日進月歩で目が離せない。

このように、ピロリ菌と消化性潰瘍や胃ガンの間には強い因果関係があるが、ピロリ菌に感染していれば必ずそれらの疾患にかかるわけではない。そこにはさらに別の因子の関与が考えられている。現時点で、ピロリ菌感染に付加的に影響するのは、塩分の過剰摂取。塩分の取りすぎは、生活習慣病の予防の点からも控えたいところだ。

ピロリ菌の感染者は日本や韓国に目立ち、高齢者ほど多い傾向がある。経口で感染するため、下水が未整備の時代に、便中のピロリ菌が地下水に入って感染が広がったのではないかと推測される。唾液を介して感染する可能性も否定できず、大人が同じ箸やスプーンで乳幼児に食べ物を与えるのも感染のきっかけになり得ると考えられる。

抗生物資を7日間服用して除菌
ピロリ菌の感染の有無は、検査で確認できる。大きく分けて内視鏡を使用する検査と使用しない検査があるが、いずれも一長一短があり、複数の検査で確認することが望ましい。

検査でピロリ菌が確認された場合は、3剤併用療法で除菌する。これは、2種類の抗生物質と、胃酸を抑制するプロトンボンプ阻害薬を同時に服用する方法だ。7日間にわたり、朝と晩の1日2回服用する。薬の副作用で軟便・下痢・味覚異常・舌炎・口内炎などが起きることがあるが、自分の判断で飲む量や回数を減らすのは好ましくない。菌が死滅せず、耐性菌が出現する恐れもあるからだ。副作用が重い場合はすぐに主治医に相談してほしい。

2カ月後に効果を確認する検査を実施。除菌ができていない場合は、抗生物質を変えて2次除菌を行う。ここまでで約95%の人が除菌できる。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍など特定の病気では、2次除菌まで保険が適用される。そうした消化性潰瘍がなくてもピロリ菌感染の有無を確認したい人、予防的に除菌したい人は、保険が適用されず自費診療になる。希望する場合は、主治医に話してみるといいだろう。
(談話まとめ:繁宮 聴=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2011/05/09号、鈴木 秀和=慶応義塾大学医学敵東京都新宿区)内科学(消化器)准教授]
[イラスト:市原すぐる]

ストレス社会では気分転換は重要だ。気分転換でよくあるのが「ちょっと一杯」。酒は気分を良くしてくれるし、気の置けない同僚と飲みながら日頃の愚痴を言い合うのは、ストレス解消には最適のように思える。しかし、アルコールはつき合い方を間違えれば、毒も 同然になるので気をつけたい。

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