【誤れば毒になるアルコール】

ストレス社会では気分転換は重要だ。気分転換でよくあるのが「ちょっと一杯」。酒は気分を良くしてくれるし、気の置けない同僚と飲みながら日頃の愚痴を言い合うのは、ストレス解消には最適のように思える。しかし、アルコールはつき合い方を間違えれば、毒も 同然になるので気をつけたい。

酒に対するよくある誤解
例えば、こんな思い違いをしていないだろうか?
@若い頃はビール1杯で酔っていたのに、今ではワイン1本空けても平気だ。俺も酒に強くなったものだ。

これは強くなったのではない。アルコールに対する「耐性」ができてしまい、同じ程度に酔おうとして以前よりも大量のアルコールが必要になっているわけで、それだけ臓器に障害が起こるリスクは大きくなる。

Aなかなか眠れないのでかかりつけ医に睡眠薬を勤められたが、いつも酒を飲んで寝ているので必要ない。

酒を睡眠薬代わりにしないこと。毎日続けていると睡眠までに必要なアルコールの量が増えてしまう。また、アルコールは睡眠を浅くするので、量が増えると熟睡感を得にくくなる。

B毎年の健康診断で肝機能に異常はないので、酒を飲んでも問題ない。

アルコールで障害を受ける臓器は肝臓や膵臓だけではない。食道、胃、心臓、脳神経など多くの臓器に影響を及ぼすが、一般の健康診断では分からないものも多い。

C元気のない部下がいるので、明日にでも飲みに連れ出して話を聞こうと思っている。

酒が苦手な部下であれば連れ出されるのは苦痛でしかなく、それをきっかけにアルコール依存に陥る場合もある。話を聞くなら、初めは職場で時間と空間を確保して行うべきだ。

D私の夫は、酒さえ飲まなければいい人なんです。

本当にそうだろうか。アルコール依存症の人をかばう時にパートナーがよく使う表現だ。アルコール依存症の人はギャンブルなどほかの依存を合併することが多い。「酒さえ」とは言うが、その酒が最も問題になっていることに、実は気づいていないことが多い。

E何十年も相当量を飲酒してきた。やめなければいけないとは思っているが、今さら無理だろう。

強い意志があり、周囲の協力が得られれば、断酒はいつからでも可能だ。1年間断酒できればその後の再飲酒率が下がると言われている。1日1日を積み重ね、まずは1年を目指そう。

適正飲酒量は個人差が大きいので、自分の飲める量を人に押しつけてはいけない。健康のために、今まで毎日2合以上飲酒している人は週2日の「休肝日」を作ってほしい。アルコールと上手につき合うことが、上手なストレスケアにつながる。

[出典:日経ビジネス、2011/05/02号、吉村 靖司=神田東クリニック]

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