【不整脈での突然死を防ぐ】

毎晩クライアントの接待で睡眠もままならないGさん(50歳)。めまいが続いたので受 診すると、不整脈との診断。心配ないと言われたが、生活改善を指導された。

現在、日本では突然死(発症から死亡までが24時間以内の病死)している人が10万〜11万人いると言われる。その6割が心臓病によるもので、ほとんどは不整脈が原因とされている。

心臓は筋肉でできた臓器で、左右で心室と心房に分かれている。通常は、右心房の洞結節という部位からかすかな電気信号が発生し、房室結節という電気の通る道を通過して心室へ伝わり、筋肉を収縮させる。この流れを正確に繰り返すことで心臓の鼓動リズムが作られ、1分間に60〜80回、全身へ血液を送り続けている。脈は、心臓から押し出される血液の拍動が、血管に伝わって感じられるものだ。この脈のリズムが乱れる病気を不整脈と呼ぶ。

一言で不整脈といっても、脈の規則性が失われる「期外収縮」、規則性はあるが脈が速い「頻脈」、逆に遅くなる「徐脈」に大別できる。その中でも、さらに細かな種類がある。

実は、中年以上ならほとんどの人が毎日1〜2回は不整脈になっている。ストレス、睡眠不足、疲労などでも不整脈は起こりやすくなるからだ。ただし、ほとんどは心配のいらない期外収縮で、様子を見て構わない。

一方、緊急を要する不整脈がある。代表的なのは、脈が1分間に100回以上、場合によっては200回以上になる「心室頻拍」。心臓から十分な血液を送り出せなくなり、意識が遠のいたり、意識がなくなることもある。「心室細動」も要注意で、心室が小刻みに震えて、全身に血液を送れなくなる。これらの不整脈が起こったら、ただちにAED(自動体外式除細動器)などで対応しないと、突然死する可能性が高い。心臓疾患や糖尿病、高血圧の人がなりやすいので覚えておいてほしい。

喫煙、飲酒、肥満注意
不整脈の主な症状は、冷や汗、めまい、胸の圧迫感、息切れ、吐き気、むくみなど。これらが頻繁に見られたら、循環器内科の受診をお勧めする。また、会社の定期健診で不整脈に気づくこともある。その場合は、不整脈の種類を医師に確認し、治療した方がいいと言われたら、受診が必要だ。

不整脈の原因には、生活環境が大きく影響している。喫煙や肥満は動脈硬化を促進し、血液の流れを悪化させ不整脈を引き起こしやすい。ストレスは自律神経を乱すため、それによって支配される心臓にも悪影響を及ぼし、不整脈につながることがある。飲酒はほどほどにしないと、血圧が上下しやすくなり、脈が一定になりにくい。

読者世代は、つい仕事に集中しすぎて、十分な睡眠も取らず、体を酷使してしまう人も多いと思う。体が疲れてストレスがたまるなどして、普段は軽い不整脈と言われている人に、心配のある不正脈が出てしまうこともある。働き盛りの今こそ、体を休ませることに気を配ることが肝心なのだ。
(談話まとめ:内藤 綾子=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2011/02/14号、池田 隆徳=杏林大学医学部付属病院(東京都三鷹市)不整脈センター長]
[イラスト:市原すぐる]

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