【高尿酸値を指摘されたら】

営業職のDさん(48歳)は、健康診断で尿酸値が高いと指摘された。痛風を持つ友人からのアドバイスで、早めに受診し、生活習慣の改善に取り組んでいる。

尿酸は、細胞の核の核酸に含まれるプリン体の最終代謝物質で、古くなった細胞の代謝の際に生じる老廃物だ。プリン体はプリン骨格を持つ物質の総称で、細胞の核や運動エネルギーとして体内で合成される。また、食品中ではうまみ成分であるプリン体が過剰で不要になると、尿酸に分解されて捨てられる。その4分の3が腎臓から尿となって排出され、残りは胆汁となる。

尿酸はすべての人の血液中に含まれており、健康な人の場合、毎日約700mgが肝臓で作られる。この尿酸の血液中の濃度が異常に高くなった状態が高尿酸血症である。血清尿酸値が1デシリットル当たり7mg以上になると高尿酸血症と診断される。

血液中に溶けきらない尿酸は、針状の結晶となって体の関節などに蓄積する。それが炎症を起こして、突然キリキリと針で刺すような激しい痛みを起こす。これが痛風発作である。

痛風は食生活の欧米化や飲酒量の増加に伴い、1970年代頃から増え始め、患者数は現在60万〜70万人、基礎疾患である高尿酸血症を含めると700万〜800万人程度と推定されている。

高尿酸血症の原因には、@作られる尿酸の量が多い場合A尿中への尿酸の排泄が少なくなる場合Bその混合型───の3つが挙げられる。

@の場合は高プリン体食品の過剰摂取、激しい運動のほか、白血病などの腫瘍性疾患で細胞が破壊され、体内にプリン体が増加するなどの2次的な要因も考えられる。Aは高尿酸血症の6割に及び、遺伝や肥満が関係している言われている。腎不全などによって尿酸の排泄が低下すると、血液の濾過がうまくできず、老廃物がたまってしまう。また、薬剤の中には尿酸が尿中に排泄されるのを抑えるものがあり、高血圧治療の利尿剤は高尿酸血症を起こしやすいと言われている。

まずは生活習慣の改善を
高尿酸血症の合併症では、痛風のほか、腎機能障害、動脈硬化症、尿路結石、脳血管障害なども起こる。最も多いのが痛風で、尿酸の蓄積量が基準値を超えると尿酸塩結晶ができて、全身に沈着し始める。すると、痛風関節炎や痛風結節を引き起こす。

痛風の多くは、足の親指の関節に、激しい疼痛とともに発症する。発赤、腫脹(腫れ)、圧痛、局所の熱感といった症状を伴う。発作は24時間以内にピークに達し、はとんどが10日から2週間で消失する。その後、間欠的に現れたり、1年ほどして前触れなく起こったりする。圧倒的に男性に多く、女性は開経後に発症することが多い。

高尿酸血症・痛風診断のガイドラインでは、痛風の診断基準として、尿酸塩結晶が関節液の中に存在することなどのほか、次のうち6項目以上を満たすこととしている。@2回以上の急性関節炎の既往があるA24時間以内に炎症がピークに達するB単関節炎であるC関節の発赤があるD第1中足址 (親指)関節の痺痛または腫脹があるE片側の第1中足址関節の病変であるF片側の足関節の病変であるG痛風結節があるH血清尿酸値の上昇があるI]線上の非対称性腫脹があるJ発作の完全な寛解がある。

治療ではまず、食事療法と適度な運動療法(有酸素運動)を行う。肥満の解消、摂取カロリーの適正化、プリン体の摂取制限及び薬物療法なども適宜行っていく。

高尿酸血症で重要なことは、すぐに薬物に頼らず、食生活や運動などの生活習慣の改善を試みることだ。プリン体を多く含む食品には、レバー、あん肝、白子などの臓物、魚の干物、卓エビ、カツオなどがある。アルコールではビールに多い。高尿酸値を指摘されたら、こうした食品や飲料はなるべく控えるようにしたい。
(談話まとめ:杉元 順子=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2010/12/06号、細谷 龍男=東京慈恵会医科大学付属病院(東京都港区)副院長、腎臓・高血圧内科教授]
[イラスト:市原すぐる]

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