【自転車と書が活力の源】

水が停滞すると澱んで腐敗するように、人もまた、ストレスなどをため込むと気の流れのようなものが滞る気がします。それを防ぐためには、考え事を忘れたり、リラックスしたりする自分なりの方法を持つことが大切ではないでしょうか。私の場合は、体のためにはサイクリングが、心のためには書道がその役割を果たしています。

サイクリング歴は30年以上になります。自転車は主に長距離を走るためのロードレーサー、オフロード用のマウンテンバイク、街中を走るためのシティーサイクル、電車などで持ち運びが可能なフォールディングバイクの4台を所有しています。

ロードレーサーはサイクリングを始めた当時に、体格に合わせて組み立ててもらいました。以来、自分でメンテナンスをして乗り続けています。マウンテンバイクは、シンガポール駐在時に現地で購入したものです。シンガポールはもちろん、マレーシアやオールドマレーシアと呼ばれるウビン島など、暑い中を随分と走りました。フォールディングバイクは旅行用に買ったのですが、残念ながらなかなか時間が取れず、今のところ出番はあまりありません。いずれは四国霊場88カ所を回ってみたいと思っています。

心は薬しむべし、身は労すペし
現在は、自転車で出かけた先でウォーキングもしています。休日によく走るのは、西東京の桜の名所を巡るコース。練馬区の石神井公園の三宝寺池や、武蔵野の自然が残る小金井公園から善福寺川緑地、井の頭恩賜公園などを回ると、自転車での走行距離は50km程度、徒歩も1万歩ほどになります。

平日は出社前にほぼ毎朝、明治神宮まで自転車を走らせ、境内の森を30分程度歩いています。朝の空気や森は清々しく、参拝客とも自然に挨拶を交わします。代々木公園を回って帰宅すると、走行距離は約15km、歩く距離は5000歩といったところでしょうか。

サイクリングのいいところは、雑事を忘れてペダルを漕ぐことに集中できる点。ウォーキングは自然の中を歩くことで癒やされてリラックスしたり、時には考え事ができたりする点がいいですね。そうしてリセットすることで、新たな活力がわいてきます。

また、書道も幼い頃から続けていますが、きれいな字を書こうとはせず、その時の自分の思いのままに言葉を選んで書いています。うれしい時、腹が立った時などに筆を執ると、感情の起伏が文字にも表れます。その書を後から振り返って見ると、自分自身の心の動きを見つめることができます。

年賀状には毎年、書をしたためていますが、数年前には貝原益軒の養生訓から、こんな一節を選んでいました。「心は楽しむべし、苦しむべからず。身は労すべし、やすめ過すべからず。凡そわが身を愛し過すべからず」。まさにこれが、元気の秘訣と言えるでしょう。
(談話まとめ:田村 知子=フリーランスエディター)

[出典:日経ビジネス、2010/10/18号、藤原 健嗣=旭化成社長]
[写真:皆木 優子]

戻る