【肩肘張らず自然体で生きる】

私の座右の銘は、幕末の長州藩士・高杉晋作の辞世の句「おもしろきこともなき世をおもしろく」。何事も、楽しむことをモットーにしています。

6年前に経営者の友人に誘われて、トライアスロンを始めました。トライアスロンはスイム1.5km、バイク(自転車)40km、ラン10kmの合計タイムを競うスポーツです。その厳しさから、トレーニングを積んで大会に臨むのが通常ですが、私は練習はほとんどしません。タイムも気にせず、大会に参加すること自体を楽しんでいます。

4月には沖縄の石垣島で開催されている「石垣島トライアスロン」に出場しました。前日に現地入りして、仲間は一緒に練習したり、コースを確認したりしていましたが、私は1人で竹富島へ渡り、水牛車に揺られてきました。

本番でも無理はせず、マイペースを心がけています。スイムでは珍しい魚を探しながら泳いだり、バイクでは美しい景色を眺めてみたり。それでも最後のランの頃には、「もうやりたくない」と思うほどつらくなります。しかし、そこを乗り越え、ゴールまで完走できた時の爽快感や達成感は、何物にも替え難い喜びがあります。

私が何においても楽しもう、無理をせず自然体でいようと思うようになったのは、20代で起業した頃に、胃・十二指腸潰瘍を患った経験が影響しているかもしれません。

悩んでも仕方がない
医師には入院するよう言われたものの、「今、自分が倒れたら、会社もダメになってしまう」と思い、通院での治療をお願いしました。2日に1回注射を打ち、薬は毎食ごとに服用。食事療法も指導され、禁酒禁煙生活を1年半ほど続けましたが、一向に良くはなりませんでした。それが1週間、ハワイ旅行へ出かけたことで、すっかり治ってしまったのです。

現地での食事は、医師から控えるよう指導されていたものばかりでした。仕方なく悪化するのを覚悟で、肉や炭酸飲料などを久しぶりに口にしたのですが、全く痛まず、鎮痛剤を飲むこともありませんでした。ストレスからの解放が、何よりの薬になったようです。それからは、くよくよ悩んでも仕方がない、なるようになると思うようになりました。

今でも暴飲暴食には注意していますが、何でもおいしく頂きます。私の母親は孫である私の子供に、「笑顔で食べないと、体に良いものも毒になるよ」と話します。私も食べる時の環境が心身に与える影響は大きいような気がします。家族や好きな仲間と笑顔で囲む 食事は、それだけで幸せな気分になれるもの。「笑顔のあふれる食卓」は、食事の原点であり、我が社の経営理念でもあります。

これからも、ただがむしゃらに頑張るのではなく、仕事もプライベートも楽しんでいけたらと思っています。
(談話まとめ:田村 知子=フリーランスエディター)

[出典:日経ビジネス、2010/06/21号、横井 啓之=ABC Cooking Studio CEO(最高経営十任者)]
[写真:皆木 優子]

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