【健康は「居職同源」から】

健康を考えるうえでは食生活が大切とする「医食同源」という言葉があります。私はこれを、「居職同源」とも呼んでいます。つまり、住まいと同じように、職場が大切だということです。自分自身はもちろん、社員やスタッフが生き生きと働ける環境を整えること が、心身の健康を守るためにも、経営効率を高めるためにも重要だと考えています。

そんな思いもあり今年3月、オフィスビルが立ち並ぶ東京・大手町にあるパソナグループ本部の1階から9階までのスペースに、自然との共生をテーマにした「アーバンファーム」をオープンしました。各フロアの天井や壁面には様々な野菜や果物を、外壁やバルコニーには200種類以上の植物を育成。1階には水田も設け、1年に3回の作付けと収穫を行う予定です。

社員一人ひとりが毎日、これらの世話をしていますが、私の部屋や会議室にある野菜や植物は、自らの手で育てています。実った野菜は収穫して、カフェテリアの食事として提供しています。オフィスに緑があふれていると仕事の疲れも癒やされますし、植物の成長や新鮮でおいしい野菜を話題にコミュケーションも生まれます。

こうしたオフィス作りは、利潤追求を優先する現在の社会情勢とは逆行しているかもしれません。しかし、自宅と同等かそれ以上の時間を過ごす職場の環境こそ、心身の健康に与える影響も大きいはずです。一見、無駄とも思えるようなスペースが、いかに人を健やかで豊かにするかを示していけたらと思っています。

24時間を4つに区切る
また、私は1日24時間を6時間ずつ、4つに区切って過ごしています。1つ日の6時間は十分な睡眠に、2つ日の6時間はインプットといって、企画を考えたり営業活動をしたりする時間に当てています。3つ日の6時間はアウトプットで、社員と交流したり、講演や大学の講義などで話したりする時間。そして、4つ日の6時間は“Do Tank(実践)”と呼んでいる時間です。

これは、パーティーを主催して友人や様々な分野の人たちと懇親を深めたり、苦楽会に出かけたり、体を鍛えたりといった、自分のために使う時間です。また、この時間を利用して、毎年1つ、新しいことにもチャレンジしています。一昨年はタップダンス、昨年は和太鼓の稽古を積んで、1年間の成果を社員の前で披露しました。今年はピアノに挑戦中です。

さらに、1年間の12カ月を11カ月と設定し、1カ月間は旅に出るなどビジネスから離れた生活をするようにしています。いわば、Do Tankの拡大版です。こうした時間を持つことで、自分の感性を磨き、より大きなビジョンで経営に臨むことができると考えています。英気と活力を養うためにも、大切な時間となっています。
(談話まとめ:田村 知子=フリーランスエディター)

[出典:日経ビジネス、2010/04/26号、南部 靖之=パソナグループ代表]
[写真:皆木 優子]

戻る