【完治を目指すリウマチ治療】

足のこわばりが続き受珍したところ、関節リウマチと珍斬されたGさん(55 歳)。リウマチになってしまっては、赴味のゴルフもいずれできなくなると悲観している。

関節リウマチは、高齢化社会を迎えた近年、患者数が増え続けている自己免疫疾患の1つである。自己免疫疾患は、本来、体内の異物(ウイルスや細菌、腫瘍など)を排除しようとする免疫システムが、誤作動することによって発症する。自分の体の正常な細胞や組織 を異物だと誤認識し、それを破壊しようと免疫細胞が活動することで、症状が起きてしまうのだ。

関節リウマチを発症すると、主に手足、指の関節に炎症が起き、やがては関節の骨が破壊される。痛みを伴い、症状が進行すると関節が変形し、日常生活に支障を来す。患者の男女比は1対4で女性に多いが、男性に無縁の病気というわけではない。

関節リウマチの発症のピークは50歳前後。男性の場合、症状がひどくなり、仕事にも影響が及ぶようになって初めて受診する患者さんが多い。その時点では、骨の破壊がかなり進んでいることも少なくない。

かつてはいったん発症すると、症状をなだめながら一生つき合わなければならない不治の病とされていた。だが最近は、発症早期で適切な治療を行えば、ほぼ完治と見なせる状態にまで回復するケースが増えてきている。その大きな立役者と言えるのが、レミケード(抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤)などの生物学的製剤である。

レミケードで骨の破壊を阻止
関節リウマチの根本原因はまだ解明されていないが、関節の炎症から骨の破壊に至るまでのメカニズムは明らかになっている。

関節の炎症は、関節を包んでいる滑膜にリンパ球などの免疫細胞が増殖し、サイトカインと呼ばれる生理活性物質が多量に発生することで起きる。中でもTNFαというサイトカインは炎症を悪化させ骨に損傷を与える。このTNFαの活動を抑える働きをするのが生物学的製剤であり、日本で最初に認可されたのがレミケードだ。

レミケード治療は、点滴投与で行われる。初回に投与した後は、2週日、6週日に、その後は8週間ごとに投与していく。1回の治療には3〜4時間ほどかかる。

費用は医療費の負担割合によって異なるが、3割負担の場合、年間平均42万円程度となる。高額な薬だが、痛みで眠れなかった患者さんが熟睡できるようになるなど即効性があり、骨の破壊の進行を止められるはか効用は極めて高い。

さらに、この薬の大きな特徴は、症状が改善されれば、投与が必要なくなるという点である。発症して2年以内の場合、30%近い患者さんがレミケード治療を終了させている。

レミケード治療は、発症の早期であればあるほど、その効果が高くなる。以前はこの治療を行うには、症状の重さなど様々な規制があり、早い段階での治療開始が難しかった。現在は規制も緩和され、多くの人が治療を受けられるようになった。関節リウマチと診断され、非ステロイド性抗炎症薬、抗リウマチ薬、副腎皮質ステロイド薬などを段階的に使用しても、症状がなかなか改善されないといった場合、診断から約半年ぐらいでレミケード治療が行われるようになっている。

リウマチ発症の気づきやすいサインは、朝の手足のこわばりだ。そのほかにも、指のつけ根や関節などが1カ所でも腫れ、その腫れがなかなか引かないという場合は、関節リウマチの可能性を疑い、早めに受診するのが望ましい。血液検査やMRI(磁気共鳴画像装置)検査などですぐに診断がつく。

忙しいからと受診を後回しにしていると、ゴルフなどの趣味ができなくなるだけではなく、定年前にリタイアせざるを得ない状況に陥る可能性もあることを、忘れないでいてほしい。
(談話まとめ:仲尾 匡代=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2010/03/29号、神戸 克明=東京女子医科大学東医療センター(東京都馴区)整形外科リウマチ科准教授]
[イラスト:市原 すぐる]

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