【長寿は「マインドセツト」から】

48歳のB社長に念願だった初めての子供が産まれた。クリニックでお祝いを言うと、「息子が成人して跡を取る まで見守ってやりたいのですが、それまで元気でいられるか心配です」と不安そうにこぼした。

「幸福な長生き」のためには「マインドセット」が極めて重要だということが、最近のアンチエイジング(抗加齢)医学研究により分かってきた。

人間は自分の親や親族の亡くなった年齢を基準として、ぼんやりと自分の寿命を決めてしまっている傾向があ る。そして、その通りに人生の幕引きをしてしまう人が多いという。

長寿になるには「自分は健康で長生きする」と、心の奥底から心構えを作ることが必要なのだ。例えば、90歳まで生きると決意したら、それを紙に書いて、朝晩眺めてマインドセットする。さらに、孫の世話をしている様子などを具体的にイメージする。そうすれば、そこから逆算して、取るべき予防策が見えてくるだろう。

ウォーキングを習慣に
最も効果的で手軽に健康になる方法は、歩くことだ。私の先輩に研究でも臨床でも優れた医師がいたが、彼の特徴は早歩きであった。彼はいつも背筋を伸ばして、病院の廊下を軽い足取りかつ、ものすごい速度で歩く。早歩きは、脂肪を燃焼するほか、脚の太い血管がポンプの役割をして脳の血流を増やすため、脳の活性化にもつながる。

ウォーキングを習慣にするには、楽しく歩く工夫をするといい。古典的な万歩計以外にも、様々なアイテムが増えている。私が使用しているのは、任天堂の「ニンテンドーDS」ソフトの「歩いてわかる生活リズムDS」。歩行記録がカレンダーに毎日記録されることで、モチベーションが高まり、歩くことが楽しくなる。

米アップルの「iPod」「iPhone」には「Nike+iPod」というアプリケーションがあり、消費カロリーや経過時間などを音声でリアルタイムに教えてくれる。運動中に励ましの声もかけてもらえる。そのほか、定期的な運動に任天堂の「WiiFit」を利用するなど、記録アイテムを活用すると長続きしやすい。

血管の病気や認知症を予防することも重要である。EPA(エイコサペンタエン酸)は血管の老化を防ぎ、心筋梗 塞を53%、脳梗塞を20%低下させる。EPAは青魚に多く含まれるが、魚をたくさん食べられない人は高純度の EPA製剤を服用するとよい。認知症予防には、日記やブログを書く。自分を抑えず、愚痴を書き連ねるのでもス トレス解消になる。

また、定期的に検診を受けて、罹患頻度の高いガンの早期発見・治療にも備えたい。罹患数は胃ガン・大腸ガン・肺ガン・乳ガン・肝臓ガン・子宮ガンの順に多い。

私のクリニックに通院している患者さんには長寿の方が多く、100歳を超える人もいる。彼らに共通する特徴も 紹介するので、参考にしてほしい。

[出典:日経ビジネス、2010/03/08号、江田 証=江田クリニック院長]

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