【屋久島登山が元気の糧】

毎月1回3日間ほど、世界自然遺産に登録されている屋久島に滞在しています。屋久島を初めて訪れたのは10年前。世界中を撮影している写真家に、世界で一番美しい場所だと聞いたことがきっかけでした。彼が「屋久島に行かない人生なんて、しょせんそれだけ」とまで言ったものですから、自分の目で確かめずにはいられなかったんですね。そして見事に魅せられました。

屋久島では温泉に入ったり、海亀と一緒に泳いだりとリラックスする時間を過ごす一方で、九州最高峰の宮之浦岳に登ります。

宮之浦岳の標高は1936m。普通に登れば4〜5時間はかかりますが、私はその半分の時間で駆け上がります。これまでの最短登頂時間は2時間15分。誰もついてこられません。大学生の息子と登ってもいい勝負でした。

このハードな宮之浦岳登山を、日常生活においても常に意識しています。体重が1kgでも増えれば、山を駆け上がれなくなりますから。そう思えば、自然に自分を律することができますね。暴飲暴食などはもってのほかですし、週に2回は自宅にあるランニングマシンで走ったり、バイクを漕いだりしています。

80歳になっても颯爽と宮之浦岳を登ることが、私のこれまでの目標でした。ところが最近、80歳で登山をするという目標は、まだまだだと思えるようになりました。

100歳まで生きる3つの秘訣
2009年の秋に、78歳から105歳までの25人のおじいちゃん、おばあちゃんと、夢について語り合った『夢スタート』という写真集を出版しました。その対談を通してたくさんのことを教わりましたが、元気で長生きしている人には、3つの共通項があることに気づきました。

それは、明るくてよく笑うこと。どんなことに対しても「ありがとう」と言って、感謝の気持ちを伝えること。そして、過去に屈託がなく、未来に夢を持っていることです。この秘訣を実践していけば、100歳まで笑顔で元気に生きられるような気がしますね。

50歳で会長となった現在は、様々な活動を展開していますが、今の夢は、カンボジアで農業事業を立ち上げること。世界中の子供たちへの教育支援を目的に設立したNPO法人(特定非営利活動法人)「スクール・エイド・ジャパン」では、カンボジアやネパールに120以上の学校を建設してきました。その学校の卒業生たちに、就業の機会を作ることも目的の1つです。この夢は、間もなく本格的に始動します。200ヘクタールの田んぼで米を作り、1万人の孤児に配る計画です。

人間はわくわくしながら生きていくもの。その源泉が「夢」ではないでしょうか。人生の折り返し地点に立った今、いくつになっても、新たな夢を追いかけていきたいと思っています。
(談話まとめ:田村 知子=フリーランスエディター)

[出典:日経ビジネス、2010/01/04号、渡邉 美樹=ワタミ会長・CEO(最高経営責任者)]

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