【生活習慣病対策は食事から】

Aさん(34歳)がひどい全身のだるさを訴えて来院した。Aさんは、地域社会へ貞献したいというビジョンを掲げる社会起業家だ。休みも取らず、朝から夜遅くまで働きづめ。暴飲暴食や運動不足から、若くして糖尿病、高血圧、高脂血症を併せ持つうえ、慢性疲労症候群と診断された。

米国には「聖なる炎(sacred fire)」という言葉がある。社会貢献のための無私な戦いを例えた言葉である。「世の中のためになりたい」という若き彼の純粋な夢を尊いと思う。しかし、聖なる炎に自らが焼かれてしまってはいけないのだ。Aさんには「聖なる炎に焼かれるからこそ自分は正しい」と感じるような、若さゆえの自己破滅的傾向もあった。

そこで私は、Aさんにカウンセリングを行い、最も重要な食事について指導した。

「デザイナーフーズ」を多く取る
米国ではガン患者数と死亡者数が減少してきている。これには「5 A DAY(ファイブ・ア・デイ)運動(1日5皿以上の野菜と果物を取ろう)」という、官民共同による全国的運動の成果が大きい。これにより米国民の野菜と果物の摂取量が大きく増加したのだ。

また、NCI(米国立がん研究所)は1990年に「デザイナーフーズ・ビラミッド」という概念を発表した。ガンを予防し、健康に良い成分を含んだ機能性食品(ファンクショナルフーズ)を3ランクに分け、ピラミッドの上に行くほどガンや生活習慣病予防に効果的とするものである。

詳しくは図と、以下のポイントを参考にしてはしい。

 @キャベツは、ニンニクに次いで、高機能成分を特に多く含んだ野菜である。ガンを抑えるほか、キャベツに含まれるビタミンUは、胃酸を抑えて胃炎を軽減してくれる。

 A茶に含まれるカテキンなどのポリフェノール群はガン抑制効果が高い。カテキンにはピロリ菌を抑える働きもあり、胃炎の改善にも効果を示す。

 Bオレンジ、レモン、グレープフルーツなどの柑橘類やトマト、ナス、ピーマンなどのナス科の野菜も毎日取りたい。トマトは特に、男性の前立腺肥大に効果がある。

 Cデザイナーフーズ・ピラミツドに記載はないが、ヨーグルトを毎日3週間以上食べ、腸内細菌を整えることで、インフルエンザウイルスに対する抵抗力や免疫力が高まる(プロパイオテイクス)ことが証明されている。

Aさんは、それまでの栄養バランスの偏った食事を野菜・果物中心の食事に改め、高機能食品を積極的に摂取したところ、血液データはみるみるうちに改善し、体調も回復していった。

真摯な志を意気に感じて集い、支持してくれる人が必ずいる。Aさんには未来を信頼して、体をいたわりながら励むように話した。

[出典:日経ビジネス、2009/10/12号、円田 証=江田クリニック院長]

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