【頻尿は年のせい?】

頻繁に尿意がして、すぐにトイレに行きたくなるようになったYさん(57歳)。
通勤時も心配になってしまう。
年のせいで仕方がないのだろうか。

これまで、尿をためる蓄尿、尿を排出する排尿を問わず、尿にまつわる障害を、「排尿障害」と呼んでい た。その中には、過活動膀胱、前立腺肥大症、夜間頻尿、神経疾患による膀胱・尿道機能障害などが含まれる。

神経疾患によるもの以外は、高齢になるほど発症しやすくなる。だが、恥ずかしさや年を取ると仕方がないといった思いから、受診を敬遠する患者さんも少なくない。排尿に関する不快さや悩みを抱えて日常生活を送ることは、QOL(生活の質)を低下させるだけでなく、外出を控えるなど消極的なライフスタイルに至りやすい。

さらに、これらの症状は、より重大な疾病が原因となっている場合もある。排尿障害であれば適切な治療で症状は改善するので、勇気を出して、泌尿器科の専門医に相談してほしい。

最近は、蓄尿機能障害と排尿機能障害を合わせて「下部尿路機能障害」と呼ばれている。腎臓から膀胱までの上部尿路に対して、膀胱から尿道までは下部尿路と分けられているためだ。

中高年の男性で、「なかなか尿が出ない」といった症状がある時は、前立腺肥大症を疑う。国際前立腺症状スコア(前立腺肥大症の自覚症状を評価し、重症度を判定するための質問票)を使って症状を客観的に評価する。

逆に、「尿意を我慢できない」などの症状がある場合は、過活動膀胱症状質開票を用いる。そのほか、血尿や尿路感染症を調べる尿検査や残尿量を測定する。前立腺ガンが疑われる患者さんであれば、前立腺の触診やPSA(前立腺特異抗原)検査も行う。

頻尿でも前立腺肥大の場合が
一般的には、膀胱に尿が200〜300ミリリットルたまると尿意をもよおすが、100ミリリットルぐらいでトイレに行きたくなるのなら、前立腺肥大症のケースも多い。前立腺は精液を作る臓器で、膀胱の下にあり、尿道を取り囲んでいる。前立腺が大きくなると、膀胱を刺激し過活動となることも多く、上記のような症状が出る。

前立腺肥大症は食生活などの欧米化により増加傾向にあり、55歳以上の20%ほどが罹患している。

肥大した前立腺が尿道を圧迫して排尿しにくい症状の場合は、前立腺平滑筋を弛媛させて締めつけを弱めるα1遮断薬を用いる。投薬の効果が低い時は、前立腺の一部を削り取る手術などを行う。現在では、内視鏡手術など患者さんの体への負担が少ない術式も取れるようになっている。過活動膀胱を合併するケースでは、膀胱の収縮を抑制する抗コリン剤で尿意を抑える。

下部尿路機能障害の原因は、前立腺肥大症以外にも、脳血管障害、バーキンソン病、糖尿病による末梢神経障害、ストレスなど様々ある。適切な治療を行うためには、何が原因であるかを特定する必要がある。そのためには、泌尿器科、または尿失禁排尿障害外来などの専門医を受診することを勧める。
(談話まとめ:佐藤 千秋=企画篇集部)

[出典:日経ビジネス、2009/09/21号、鈴木 康友=日本医科大学付属病院(東京都文京区)泌尿器科講師尿失禁排尿障害外来担当]

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