【科学が実証した腹7分目】

摂取カロリーの制限が健康によいことを証明するニュースが先ごろ米国から届きました。この欄でも紹介したことのある米ウイスコンシン大のチームがアカゲザルを使った研究で実証したのです。約20年にわた る研究によると、摂取カロリーを約3割減らすと糖尿病やがんなど加齢に関連した病気で死ぬ確率が3分の1に減ることがわかったというのです。7月中旬に米科学誌「サイエンス」で発表されました。

アカゲザルにカロリー制限を始めたのは7歳から14歳と大人になってからで、加齢性の病気の発病を減らすだけでなく、老化を遅らせることもできたという内容です。これまで、ショウジョウバエやマウスの研 究はありましたが、霊長類では初めて確認されたことになります。

私も1日1300`カロリー以内の低カロリー食を実践しています。ただし、夕食にはたんばく質を十分にとる献立を、10年前から毎日続けてきました。そのおかげか、今年10月に98歳を迎える現在も、大きな病気とは無縁に暮らしています。私は子どもの頃から太りやすい体質で、よく「デブ、デブ」とからかわれたので、実は小学校上級生くらいから常に「腹8分目」を意識してきました。どうやらこれがよかったようです。さらに、ここ10年は「腹8分目」ではなく、「腹7分目」でいこうと提唱してきました。「腹7分目」の有効性が科学的にも証明されたことになります。

日本だけでなく、東洋や欧米にも昔から断食療法があります。宗教的な意味とは別に、たまに行う断食は健康に良いと民間伝承的に認められてきました。

総力ロリーを断食で制限することについては、09年2月の英科学誌「ネイチャー」に、日本からの注目すべき研究が発表されています。京大大学院生命科学研究科の西田栄介教授の下で、本城咲季子さんが線虫 を使って行った研究によると、えさを減らしてカロリー制限させた線虫は寿命が1・2倍、2日ごとに断食させた線虫は1・5倍に延びたという結果です。これらが人間にも有効とすれば、今時の言葉でいう「プ チ断食」は、カロリー制限を日常に取り入れる生活の知恵ともいえます。

[出典:朝日新聞、2009/08/01、「97歳・私の証 あるがまゝ行く」日野原 重明=聖路加国際病院理事長]

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