【打ち明けにくい陰嚢部の痛み】

1週間ほど前から陰嚢(いんのう)部に鈍い痛みがあり、色も赤みがかっている気がするKさん(41歳)。気になるが、 恥ずかしくて病院に行けずにいる。

陰嚢には、精巣をはじめ複数の大切な臓器が入っているため、痛みの原因はいろいろある。Kさんのように陰嚢部に我慢できる程度の痛みがあり、張れと赤みを帯びているような場合には、急性精巣上体炎という病気が考えられる。

精巣上体とは、精巣のすぐ横にあり、精巣で作られた精子が精管に入る前にいったん蓄えられる場所だ。その部分に細菌が入ってしまうことで、精巣上体炎が起こる。発熱のほか、尿道口から膿のようなものが分泌されることもある。

治療としては、尿検査などで細菌の種類を特定し、それに合った抗生物質を飲む。発熱や痛みは1〜2週間で治まるが、腫れなどはしばらく続くこともある。こじらせてしまう.と、不妊症の原因になることもあるので、恥ずかしがらずに早めに病院に行った方がいいだろう。

尿路結石で痛むことも
精巣上体炎はまた、性行為感染症の性器クラミジア感染症や淋菌感染症が原因のこともある。感染の原因となる性行為があってから、前者は4週間以内、後者は2〜7日くらいで病気の症状が出始める。いずれかの診断を受けた場合には、パートナーも同時に治療をする必要がある。

一方、陰嚢に急な激しい痛みがあり、吐き気を伴う場合には、精巣捻転症や尿路結石などが考えられるので、できるだけ早く病院に行くべきだ。

精巣捻転症とは、精巣上体に蓄えられた精子を尿道まで運ぶ管である、精管がねじれてしまう病気だ。下腹部が強く痛むことも多い。放っておくと精巣への血流が遮断されてしまい、6〜12時間で精巣が壊死してしまう。この病気は、子供や若い人に多く見られるが、どの年齢でも起こり得るので軽視はできない。

また、意外かもしれないが、尿路結石でも陰嚢部への強い放散痛を伴うことがある。尿路結石とは、尿の中のカルシウムなどが時間をかけて石のように固まり、尿管に詰まって、痛みを生じるものだ。

治療としては、まず鎮痛剤で痛みと尿管の痙攣を鎮め、]線や超音波で石の大きさや場所を確かめる。小さいものであれば、水分を多めに取り、自然に出るのを待つことになる。出てきた結石は取っておいて、病院で成分を分析し、再発予防につなげる。

さらに、精巣にしこりや違和感を覚えた場合は、ガンであることが少なくない。精巣が腫れて、でこぼこな形になることもある。痛みは伴わないことが多いが、しこりに触れると痛むこともある。年齢的には40歳未満の比較的若い人に多い。

精巣の隣の精巣上体のしこりは良性である場合が多いが、素人ではその区別が難しい。そのため、陰嚢部にしこりを感じたら、まずは医師に相談するのがいいだろう。
(談話まとめ:當麻 あづさ=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2009/07/27号、ジーナ・ウイリアムズ=八マクア・ヘルス・センター(米国ハワイ)医師]

戻る