【水虫は薬を買う前に受診を】

ジメジメする季節になると足の皮がむけるDさん(47歳)。
市販の水虫薬は効かないことも多いので、今年は受診することにした。

暖かい季節になると、多くの水虫患者が皮膚科外来へ姿を見せ始める。今や2500万人の患者がいると言われ、足だけの水虫は5人に1人、爪の水虫は10人に1人はいるという報告がある。

10年前と比べても、水虫の患者数はほぼ変わらない。その理由の1つは、水虫は免疫ができないため、治っても再びかかることが多いからだ。水虫の正体は、白癬菌(はくせんきん)という真菌(カビ)の一種。白癬菌は足の表皮の一番外側にある角質層に寄生し、角質を構成するケラチンというたんばく質を栄養源としている。通常はその角質層より深い表皮に入り込むことがないため、ヒトは免疫を作ることができない。

水虫は、足の指の間にできるタイプと足の真に小さな水ぶくれができるタイプが大半で、まれに足の裏全体の角質が硬く厚くなるタイプも見られる。

皮がふやけてむけてきたり、赤みがかってかゆみが出てきたりしたら、水虫の市販薬を買う前に皮膚科を受診してほしい。水虫と思っている人の3割くらいが、あせもや湿疹など水虫以外だったという報告もある。そういった場合には水虫薬が効かないばかりか、逆にかぶれるなど悪化させることにもなりかねない。

病院では、むけている皮を顕微鏡で観察すれば、比較的簡単に診断がつく。足の水虫であれば抗真菌剤の軟膏が、角質が極端に厚くなるタイプや爪水虫なら服用型の抗真菌剤の処方が考慮される。

足の水虫なら、軟膏を塗れば大抵1〜2カ月で症状は改善する。しかし、角質層の奥深くに白癬菌が潜伏している可能性もあるので、すべての角質がアカとなってはがれ落ちるまでの2〜3カ月間は、症状改善後も薬を塗り続けることが肝心だ。頻繁に皮膚科を受診できない人は、最初に診断を受けて薬を処方してもらい、使い切ったら同じ成分の市販薬を購入するのが、有効な市販薬の利用法と言える。

家族に感染させない配慮を
水虫が足にできやすいのは、あらゆる場所を踏み歩いて触るからだ。また、真菌は高温多湿を好むため、1日中靴を履いて、汗をかきやすくむれやすい足の指の間などは、繁殖するのに一番適した場所でもある。

白癬菌が付着しても、それが角質層に入り込んで感染するまでに2日程度かかるので、帰宅したら、毎日濡れタオルで軽く足裏や指の間を拭いてやれば、感染する前に白癬菌は落ちる。会社では、足の指の間を密着させないように、5本指ソックスを利用することも予防につながるだろう。

水虫になってしまったら、自宅ではスリッパやバスマットなどの共有物を家族と別にするなどの配慮が必要だ。1人が水虫になったら家族に感染する確率は高いうえ、自分だけが治しても、家族の誰かが水虫であれば、再び感染してしまう可能性がある。
(談話まとめ:内藤 綾子=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2009/05/18号、畑 康樹=済生会横浜市東部病院(横浜市塙見区) 皮膚科部長 慶応義塾大学病院皮膚科真菌外来担当]

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