【レーシックは術前検査をしっかりと】

友人がレーシック手術を受け、視力が上がったと喜んでいる。
Fさん(38歳)も受けたいと考えているが、感染症など手術によるリスクが心配だ。

レーシック(LASIK)とは、目の屈折矯正のこと。角膜の内部を削り、形を変えて屈折率を矯正、視力 を上げる。1990年から始められ、日本では年間約45万件の術例がある。術後すぐに眼鏡やコンタクトレンズなしに視力が得られるため、手術を受ける人や、手術を手がける医療機関が増えている。

その中で、東京都内のクリニックでレーシック手術を受けた患者に集団感染が起きたことは記憶に新しい。報道などからレーシック手術自体に不安を覚える人が増えた。この事例は医療機関の基本である衛生管理がずさんだったためで、レーシック以前の問題だ。

ただ、眼科専門医としての訓練を受けていない医師による手術や、術後のフォローが不十分なケースが見受けられるのも事実。本来、訓練を受けた眼科専門医が執刀すれば、レーシックは安全性の高い手術である。

術後のフォロー体制も確認
実際の手術は、空気中の細菌などを制御したクリーンルームで行う。カンナのような機器あるいはレーザーを使って角膜の表面を薄くめくり、フラップと言われる“蓋”を作る。その後フラップの内側の角膜にレーザーを照射して角膜のカーブを変え、近視や乱視などを矯正。照射後は、その表面に異物が残らないように洗浄したうえでフラップを元の位置に戻し、自然に接着させる。手術時間は15分程度だ。

レーシック手術を安全に受けるには、医療機関選びのチェックポイントがある。まずは、その医療機関の責任者と執刀医が眼科専門医であること。日本眼科学会のホームページでも専門医の名前は確認できる。また、使用する器具などの滅菌と消毒法、医師や看護師の手洗い状況、手術室がクリーンルームであるかどうかも確認したい。

そのうえで最も大切なのが、術前の正確な検査と診断、そして衝後のフォローだ。レーシックでは、どれぐらいの距離のものを良く見えるようにしたいかによって、設定する屈折率、すなわち角膜を削る程度が変わる。だからこそ、術前に患者の希望をしっかりカウンセリングすることが重要だ。また、屈折率を決める前提となる衝前検査を、数回にわたって実施するところを選んでほしい。視力は体調により変化するので、1回の検査では正確な数値が出にくいからだ。術後も定期的に検査をし、その後の管理も継続的に生涯にわたって行うところがいい。

レーシック手術を受けた患者が将来的に白内障の手術を受ける時には、レーシックの治療データが必要になる。データの管理がきちんとされており、しかるべき医療機関への紹介も行う施設を選ぶことも肝要だろう。

適切な手術をするためには、ある程度の設備投資などコストがかかる。日本眼科学会でも、片目につき20〜30万円が必要としている。費用の安さで安易に医療機関を選ぶのは禁物だ。
(談話まとめ:武田 京子=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2009/04/20号、坪田 一男=慶応義塾大学(東京都新宿区)医学部眼科学教室教授]

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