【大人の気管支喘息】

残業中に急に胸苦しくなり、呼吸も乱れたDさん(45歳)。
同じような症状が続いたので病院で診てもらうと、気管支喘息と診断された。

アレルギー性疾患には、気管支喘息、薬物及び食物アレルギー、アトビー性皮膚炎・鼻炎などが挙げら れる。気管支喘息の患者は国内でおよそ200万人。発症率は以前から変わらないものの、最近は効果的な治療薬の開発により、死亡率は激減してきた。ちなみに子供の時からの喘息は、成人すると半数は治る。

喘息の原因は体質的なものと環境因子とがある。体質的な要因としては、遺伝的なアレルギー素因、気道過敏性など。環境因子としては、花粉やダニ、ハウスダストなどのアレルゲン(抗原=アレルギーの原因となる物質)との接触、大気汚染、喫煙、特定の食品や薬物、食品添加物の摂取、ストレス、ウイルス性呼吸器感染症などが挙げられ、両者が重なって発病や症状の悪化を招くことも多い。

アレルギー素因のある人がアレルゲンを吸い込むと、免疫グロプリンE(IgE)という抗体ができる。IgEは肥満細胞と結合して、抗原の侵入を待っている。そこへ抗原が入って抗体反応が起こると、肥満細胞はヒスタミンなどの化学物質を放出する。このヒスタミンなどが気管支の収縮や粘液の大量放出を起こし、気管支を狭くしたり、詰まらせたりする。これが、喘息発作のメカニズムである。

また、抗原抗体反応の結果、白血球の一種である好酸球やリンパ球が炎症を起こし、喘息を慢性化させることが分かっている。

自己判断は禁物
喘息は発作性の呼吸困難、呼吸が「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という喘鳴(ぜんめい)、胸苦しさ、夜間や早朝に多く出る咳などの反復でおおむね判断できる。成人の場合、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や心不全が合併していることがあるので要注意だ。さらに、皮膚反応でアレルゲンを探すスクラッチテストや皮内反応、肺機能検査、喀疾検査、気道過敏性テストなども総合して診断する。

治療としては、原因となる要素を回避または除去し、薬物療法で炎症を抑え、気道の拡張を図る。副腎皮質ホルモンの吸入が最も効果的だ。ただし、副作用として舌の荒れ、声がれを起こすことが多いので、予防にはうがいが有効だ。気管支拡張剤であるβ刺激剤には、長時間効果が持続するいい薬が出てきている。両者の混合剤も昨年発売された。また、ごく最近認可された抗IgE抗体の注射薬は、IgEが活動して抗体を作る前の段階で抑えてしまう。月に1度の治療で済むものの、料金はまだ高価である。

喘息患者の半数程度は花紛症やアレルギー性鼻炎を合併している。外出時や外出後は、マスクやうがい、手洗いなどでの予防を心がけたい。

喘息は症状が改善すると、治療をやめてしまう人が多い。だが、再発や重大な発作につながることがあるので、自己判断で通院をやめてしまわずに、必ず医師の指示に従ってほしい。
(談話まとめ:杉元 順子=医療ジャーナリスト) [出典:日経ビジネス、2009/03/23号、中沢 浩亮=新橋アレルギー・リウマチクリニック(東 京都港区)内科]

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