【抗ガンサプリはどう使う?】

同期がガンで入院したと聞き、ガン予防のためのサプリメントに興味を持ち始めたTさん(51歳)。
どんなものがいいのだろう。効き目は本当にあるのだろうか。

ガン患者さん3100人を対象にした厚生労働省の調査によると、約半数の人が手術、化学療法、放射線療 法以外の補完代替医療を利用し、その中でもサプリメントの使用率が高いことが明らかになっている。私のクリニツタでも「サプリメントを使ってみたい」と相談される患者さんは少なくない。

いくつかのサプリメントについて有効性を評価する臨床試験が行われている。その結果に基づいてサプリメントの有用性が議論されることが多いように思われるが、有効性が評価されたサプリメントは数多くの一部に過ぎず、まだ検証されていないサプリメントの中にも有効なものがあるかもしれない。さらに、ガン患者さんの中にはサプリメントを含む西洋医学以外の治療で改善したという事例も存在する。

しかし、生活習慣病としての側面を色濃く持つガンの場合、個々の患者さんの食生活を含むライフスタイルを無視して、有効性が期待できるという理由だけで選択するのは問題である。なぜならサプリメントは、抗ガン剤のようにガン細胞を標的に開発されたわけではないからだ。

サプリメントは、日本では「栄養補助食品」「健康補助食品」などと言われるものを指す。従って、ガン患者さんが、あるいは健康な人がガン予防のためにサプリメントを使う場合は、自分の食生活でどのような栄養素が不足しているかを十分に考慮して使用すべきである。サプリメントが、ガンになりやすい悪しき生活習慣を改善するきっかけになれば、その有用性は高いと言える。

ライフスタイルを考慮する
サプリメントを使用しているガン患者さんは、主治医に隠している人が大半のようだ。そのような患者さんには「どうせダメだと言われる」「効果がないと決めつけられる」という思い込みがあるのかもしれない。

しかし、すべての医師がサプリメントに否定的な考えを持っているわけではない。医師の立場から言っても、状態によっては容認できる場合もある。サプリメントを使用する場合は、そのように決めつけずに、必ず相談してほしい。サプリメントの中には医薬品との相互作用で副作用が出現するものもあるし、医薬品とサプリメントが相互に影響し合って効果を相殺してしまうかもしれないからだ。

私が行っている統合医療は、サプリメントを含む補完代替医療を現代の通常医学(いわゆる現代西洋医学)と併せて、どちらにも偏らず患者さんの希望に基づき、ベストの状態に近づけていく医療である。そのような医療を行う医師の立場からすれば、科学的に検証された効果だけでサプリメントを勧めるのではなく、患者さんのこれまでのライフスタイルを十分に考慮したうえで、どのようなサプリメントがふさわしいかを選択すべきだと考えている。
(談話まとめ:田野井 真緒=医学ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2009/03/16号、小池 弘人=小池統合医療クリニック(東京都新宿区)院長]

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