【酸化コレステロールと動脈硬化】

高コレステロロール血症と指摘された独身営業マンのAさん(35歳)。
自宅での食事はインスタント食品で済ませることが多いと話すと、食べ方について注意を受けた。

食生活の欧米化によって、日本人のコレステロール摂取量は急速に増加しており、今や欧米人の摂取量 を凌ぐほどになっている。同時に、血中コレステロール値も増加し、動脈硬化症や脳・心血管系の病気を増やすことにもつながっている。

血中コレステロールには、体内で合成されるものと、食事から吸収されるものと2つの供給源がある。ここで問題になるのは、食事由来の酸化(悪玉)コレステロールだ。

食事から摂取したコレステロールは、様々な形で劣化(酸化)すると、小腸から吸収される。この酸化コレステロールの吸収量が高くなると、動脈硬化を促進し、脳・心血管系の病気を発症するリスクを高めるのだ。

酸化コレステロールは体内でまず脂質代謝など体の恒常性を撹乱したり、免疫機能に悪影響を及ぼす。

食べ瓦調理法を工夫する
コレステロールは長期保存や加熱調理、紫外線照射などによって劣化・変性する。

保存によって酸化コレステロールを生成する分かりやすい食品例としては、バターやチーズ、マヨネーズなどが挙げられる。バターやチーズの使いかけの表面が変色した部分、マヨネーズが容器の口の周囲で半透明になっている部分・などがそれだ。

冷凍食品のコロッケの衣やインスタントラーメンの麺生地など、いろいろな加工食品に使われている卵黄パウダー(卵の加工品)にも、酸化コレステロールが多い。

つまり、加工された動物性食品には、酸化コレステロールがかなり多く含まれていると見てよい。

コレステロールの酸化物の生成は、加熱方法によっても異なることが分かっている。電子レンジによる加熱では、10分程度でコレステロールの酸化物が生成される。また、何度か再利用した油で作る揚げ物なども酸化レベルが高い。

このような食品は、日常生活でごく一般的に口にされているが、食品の酸化の観点からの認識は意外に低い。日々の食事を作ったり選ぶ際には、ぜひ心に留めておいてほしい。

ちなみに、同時に摂取すると、酸化コレステロールの体への吸収や有害作用を抑制する食品もある。

例えば、イソフラボンを含む豆腐や納豆などの大豆食品、ポリフェノールを含む赤ワインやリンゴ、ミネラルやビタミンC・E、カロテノイド(ベータカロテン)などを含むニンジン、セサミンを含むゴマ、リコピンを含むトマトなど、抗酸化物質を含む食品が挙げられる。

調理の際は動物性食品の使いかけの切り口は捨てる。電子レンジでの長時間及び繰り返し加熱は避ける。そして、インスタントラーメンやレいレト食品などで食事を済ませる時は、野菜や果物などを添えて食べるといいだろう。
(談話まとめ:杉元 順子=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2009/02/09号、長田 恭一=明治大学農学部(川崎市多産区)農芸化学科食品衛生学教室准教授]

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