【腰からくる股閑節の痛み】

週末のゴルフ後、股関節に痛みを感じたBさん(45歳)。
日ごとに悪化するので受診すると、推間板ヘルニアと言われた。
腰は痛くないのだが。

40代を過ぎる頃から、股関節の痛みが気になる人が増えてくる。一口に股関節の痛みと言っても、痛み 方や原因となる疾病は様々だ。

股関節の疾病の中で一般に最もなじみ深いのが「変形性股関節症」だろう。昨年、歌手の前川清氏が手術を受けたことでその病名を耳にした人もいるのではないだろうか。変形性股関節症は大腿骨を受ける側の骨である股関節臼蓋の形成が不全のために起こる病気。徐々にその部位にある軟骨が摩耗したり骨の変形が起こり、進行とともに歩行が難しくなる。進行してしまえば、手術が必要になる。骨の解剖学的な構造により、患者の9割は女性で男性は少ないのが特徴だ。

痛みの出方や特徴を確認
一方、Bさんのように、痛みは股関節周辺にあっても、原因が腰准の推間板ヘルニアにあるケースもある。これは男性に多く、原因の1つはゴルフなどで体をひねる動作をすること。ゴルフの後などに股関節の痛みが出て、下に置いたものを持ち上げる時や、手を伸ばしながら上を見上げる姿勢を取ると痛みが強くなるようなら、推間板ヘルニアの疑いがある。

また、男性の割合が高いのが「大腿骨骨頭壊死症」。その名の通り大腿骨の一部が壊死して痛む。難病指定にもなっており、発症数自体は年間7000人ほどと少ない。しかし、発症には飲酒が関係していることをうかがわせるデータもあり、酒を飲む人は注意が必要だ。ビール大瓶1本以上のアルコールを毎日摂政している人では、発症率がそうでない人の6倍。予防のためには、休肝日を設けることが必要だろう。

サッカーやテニスなど、深く屈伸をするスポーツ後に、「股関節唇損傷」や「大腿骨骨頭靭帯損傷」になる例もある。これは、股関節内の軟らかい組織が傷つけられて痛みが起こるもの。靭帯の損傷のために、通常のレントゲン検査などでは異常が見られず、受診しても見逃される例もある。股関節を深く曲げて膝を内側にひねったり、靴下をはく時などに痛みがある場合は要注意。放置すると変形性股関節症に進行することもある。

このほか、時々股関節が外れそうな感じがしたり、ある動作をすると強い痛みとともに“ボコツ”“ガクッ’’という音やそうした感じがする場合には、「弾撥股(だんぱっこ)」の可能性がある。股関節のすべりが悪くなり、周囲の筋肉を覆う膜が炎症を起こして痛みを生じる。炎症を抑える注射や、筋肉のストレッチで軽快することが多い。

このように、同じように股関節が痛む場合でも、その原因によって、歩行などの運動に制限が出る場合がある。痛みが長引くようなら専門医を受診してほしい。その際には、「鋭い痛みなのか、鈍痛なのかといった痛みの状態」や、「痛みが出る時の姿勢や動作の状態」などをメモしておき、医師に告げると診断の助けになる。
(談話まとめ:武田 京子=医療ジャーナリスト)

[出典:日経ビジネス、2009/012/02号、松原 正明=玉川病院(東京都世四谷区)股関節センター センター長]

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