【まぶたが下がる眼瞼下垂】

最近まぶたが上げにくくなり、見づらく感じているGさん(59歳)。
眼科でコンタクルンズの度数を診てもらおうとしたところ、眼瞼(がんけん)下垂と言われた。

服瞼下垂は、上眼瞼(上まぶた)が下がり、目を開けようとしても、まぶたを上げられない病気だ。

まぶたを上げるのは、眼瞼挙筋(きょきん)という筋肉で、その筋肉を動かしているのは動眼神経である。この筋肉または神 経の異常で眼瞼下垂は起こり、生まれ持っての先天性のものと様々な原因からなる後天性のものとがある。

Gさんのケースは後天性眼瞼下垂で、コンタクトレンズの長期使用や加齢(普通は60歳以上の方に多く見られる)が原因になっていると思われる。

そのほかの原因には、動眼神経麻痺や筋肉と神経の伝達の異常で、特に夕方になると目が開けにくくなる重症筋無力症、外眼筋ミオパチーといった神経や筋肉の病気、事故による外傷などが挙げられる。さらに近年では、女性の過度なアイメータなどで日の回りを引っ張り過ぎ、筋肉を弛媛させたり、皮膚のたるみを助長したりすることにも一因があると言われている。

自己診断するには、自分の顔を正面から携帯電話やデジタルカメラなどで撮ってみるとよい。その際、視線を上向き、正面、下向きと3つ撮り分けてみて、片方のまぶたがもう一方より下を向いているなど、明らかに目の開き具合が違う場合、眼瞼下垂が疑われる。

ただ、片側の眼瞼下垂の場合は比較的容易に判断できるが、両側性の場合で形成的な異常が伴わない場合や、体の構造上、視野が妨げられた場合に自然とあごを上げたり、眉を持ち上げ額にシワを寄せてみるという代償作用が働く場合は、眼瞼下垂かどうかの判断がしづらいこともある。

Gさんのようにコンタクトレンズの長期使用や加齢がかかわる眼瞼下垂の手術は、眼瞼挙筋を縫い縮めるのが一般的である。眼瞼挙筋と瞼板という組織をつなぐ挙筋腫膜の緩みを、元の位置に修復させるのだ。具体的には上まぶたの二重の位置にある皮膚を切開して眼瞼挙筋を出し、瞼板に縫い合わせる。眼瞼に局所麻酔をするため、手術中の痛みはない。手術時間は30分程度で日帰りでもきる。

術後はまぶたが腫れることもあるが、1週間で抜糸した後は徐々に治まる。1カ月もするとほぼ目立たなくなり、半年程度で完治するだろう。

このように加齢などが原因の手術は眼瞼挙筋を切除しないので、術後にまぶたがうまく閉じられない、眠っている時に目が半開きになるといった、先天性眼瞼下垂の術後に見られるような合併症はない。

ただ、人によってはまぶたのたるみを取るため、現在の顔の印象と変わってしまうことがある。加齢によってまぶたが下がるのは当たり前なこと。日常生活上、不自由かどうかを判断したうえで、手術するかどうかを総合的に考えるとよいだろう。いずれにしても、眼科医による正しい診断の下に適切な処置を行うのがベストである。
(談話まとめ:江本 園貴=プレゼランス)

[出典:日経ビジネス、2008/12/08号、久保田 伸枝=帝京大学(東京都板橋区)医療技術学部視能矯正学料教授]

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