【『色気なくさず100歳まで』】

健康維持や生活習慣病の予防については、いろいろな見解や学説が唱えられてきた。だが、何と言っても100歳 まで生きてこられた方々は長寿の生き証人のわけで、彼らの話す言葉ほど説得力のあるものはないかもしれない。

その100歳の方々に、長い人生において気をつけてきたことを聞いてみると、おおよそ3つに集約される。

1つは、朝・昼・晩と3食をしっかりと食べること。2つ目は、どんなにつらいことがあっても、決して後ろを振 り返ったりくよくよしたりしないこと。将来の幸せを信じて、前を見つめて生きることが大切だと教えている。

さて、3つ目は何だろうか。人生の3分の1を占めているという睡眠?それとも運動だろうか。足は第2の心臓と言われるほど大切だから、歩くことが健康のためには欠かせないだろう。いや、痴呆を予防するために、何か趣味を持ったりして、絶えず頭を使うことだろうか。

答えはいずれも「ノー」である。3つ目は、いくつになっても“色気”を失わないこと。100歳の多くの方々がそ う答えている。人間は、食欲、性欲、それにもう1つ、群れて生きる集団欲を満たし、ストレスに負けないことが 長生きのコツのようである。

中国に「竜宮の色が流れる」という言葉がある。目尻のあたりにうっすらと、紅をさしたように見える色気のあ る表情のことだ。生理学ではフラッシュ現象と呼ばれる。男女とも早く枯れては長生きは望めない。体は老いても そんな表情を忘れずに、心にはいつも若々しさを秘めていたいものである。

[出典:日経ビジネス、2008/12/01号、志賀 貢=医学博士]

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